50:災禍と呼ばれしもの
やりきれない想いを抱えながら地下坑道を戻り、ディグ村に辿り着いたエイミたちを待っていたものは……
「おーい、あんたらー!」
「!」
満面の笑顔でぴょんぴょん飛び跳ねながらやって来て、一行をぐるりと取り囲む村人たち。
災禍を倒す前はほとんど出歩いている者がおらず、家の中で伏せっているばかりだったというのに、その様子は見違えるほどだ。
「皆さん、もう体は大丈夫なんですか?」
「それがフシギなんドが、さっき急にフッと楽になって、モリモリ元気が戻ってきたんだド!」
どうやら奪われた気力は災禍を倒せば元通りになるらしい。沈んでいたエイミたちの心が、ぱっと明るくなる。
『うう、良かったなあ、おめえら……』
「さすがガネット様がお認めになった人たちだド。きっと今回も、何かすんげえことしてきたんだド?」
そう言いながら職人はエイミたちのことを頭のてっぺんから足のつま先まで順番にじっくりと見つめた。
ふむふむ、と腕を組みながら、まるで品定めをするかのように……
「……ん。なんだか今のあんたらを見てると、いんすぴれーしょんが湧きそうだド」
「いんすぴれーしょん?」
「しばらくしたらまたここに来るといいド。とっておきの武具をこさえて待ってるド!」
「!」
職人の言葉に真っ先に反応したのはシグルスで、紅の目を大きく見開いて頬を紅潮させ、興奮を顕にした。
「ディグ村の職人のとっておき、新作だと……?」
「今よりさらにすごい装備が作れるんですか!?」
「おう。ひっさしぶりになんかすげえのができそうだド!」
エイミも目を輝かせ、シグルスと共に興味津々な様子で職人の話に聞き入っている。
「災禍を倒さなきゃ……アイツを止めなきゃ、この光景もなかったんだよな……」
いつの間にか輪から離れ、壁に背を預けて小さく呟いたフォンドの隣に、ミューがすうっと寄り添う。
『そうよ。アイツに意思があるかどうかはわかんないけど、それでも、守るために作られたアイツがこの村の人たちを苦しめ続けるのは……まして、世界を滅ぼすようなことなんて、あっちゃならないことよ』
ミューの言葉はきっぱりとしていて、災禍との戦いからずっと俯きがちなフォンドの背中をそっと叩く。
『しゃんとしなさい。アンタも“守る者”でしょ? それなのに足元がぐらついてちゃ、いざという時踏ん張れないわよ』
「ミュー……」
『ふ、ふん! アンタがそんなんじゃチョーシ狂うのよっ! 早くあっちの脳筋組に混ざってきなさいよっ!』
「はは、ありがとな」
青い水竜も気恥ずかしさに赤面するのは同じらしい。
フォンドの視線に気づくと真っ赤な顔でフォンドを追い払った。
『まったく、世話が焼けるったら……』
「あはは、お疲れさま、ミュー」
と、妙にタイミング良く現れたモーアンに、ミューはじとりとした視線を向ける。
『見てたんならアンタが背中叩いてやっても良かったのよ?』
「僕が行こうかと思ったらもう君が行ってたからねぇ」
いけしゃあしゃあとした神官の締まらない笑顔に『白々しいのよっ』と尻尾ビンタの素振りをかますミュー。
後日、エイミたちが再びディグ村を訪れるとバラバラになった守護者の残骸が運ばれているのを目にすることになるのだが、それはまた別のお話。
「おーい、あんたらー!」
「!」
満面の笑顔でぴょんぴょん飛び跳ねながらやって来て、一行をぐるりと取り囲む村人たち。
災禍を倒す前はほとんど出歩いている者がおらず、家の中で伏せっているばかりだったというのに、その様子は見違えるほどだ。
「皆さん、もう体は大丈夫なんですか?」
「それがフシギなんドが、さっき急にフッと楽になって、モリモリ元気が戻ってきたんだド!」
どうやら奪われた気力は災禍を倒せば元通りになるらしい。沈んでいたエイミたちの心が、ぱっと明るくなる。
『うう、良かったなあ、おめえら……』
「さすがガネット様がお認めになった人たちだド。きっと今回も、何かすんげえことしてきたんだド?」
そう言いながら職人はエイミたちのことを頭のてっぺんから足のつま先まで順番にじっくりと見つめた。
ふむふむ、と腕を組みながら、まるで品定めをするかのように……
「……ん。なんだか今のあんたらを見てると、いんすぴれーしょんが湧きそうだド」
「いんすぴれーしょん?」
「しばらくしたらまたここに来るといいド。とっておきの武具をこさえて待ってるド!」
「!」
職人の言葉に真っ先に反応したのはシグルスで、紅の目を大きく見開いて頬を紅潮させ、興奮を顕にした。
「ディグ村の職人のとっておき、新作だと……?」
「今よりさらにすごい装備が作れるんですか!?」
「おう。ひっさしぶりになんかすげえのができそうだド!」
エイミも目を輝かせ、シグルスと共に興味津々な様子で職人の話に聞き入っている。
「災禍を倒さなきゃ……アイツを止めなきゃ、この光景もなかったんだよな……」
いつの間にか輪から離れ、壁に背を預けて小さく呟いたフォンドの隣に、ミューがすうっと寄り添う。
『そうよ。アイツに意思があるかどうかはわかんないけど、それでも、守るために作られたアイツがこの村の人たちを苦しめ続けるのは……まして、世界を滅ぼすようなことなんて、あっちゃならないことよ』
ミューの言葉はきっぱりとしていて、災禍との戦いからずっと俯きがちなフォンドの背中をそっと叩く。
『しゃんとしなさい。アンタも“守る者”でしょ? それなのに足元がぐらついてちゃ、いざという時踏ん張れないわよ』
「ミュー……」
『ふ、ふん! アンタがそんなんじゃチョーシ狂うのよっ! 早くあっちの脳筋組に混ざってきなさいよっ!』
「はは、ありがとな」
青い水竜も気恥ずかしさに赤面するのは同じらしい。
フォンドの視線に気づくと真っ赤な顔でフォンドを追い払った。
『まったく、世話が焼けるったら……』
「あはは、お疲れさま、ミュー」
と、妙にタイミング良く現れたモーアンに、ミューはじとりとした視線を向ける。
『見てたんならアンタが背中叩いてやっても良かったのよ?』
「僕が行こうかと思ったらもう君が行ってたからねぇ」
いけしゃあしゃあとした神官の締まらない笑顔に『白々しいのよっ』と尻尾ビンタの素振りをかますミュー。
後日、エイミたちが再びディグ村を訪れるとバラバラになった守護者の残骸が運ばれているのを目にすることになるのだが、それはまた別のお話。
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