49:再び、地下坑道
エイミたちが最初の目的地に選んだのは、ガネットが気にかけていた地の災禍が封印された場所。
南大陸、魔法都市マギカルーンの近くにある魔鉱石の洞窟だ。
「静か、ですね……」
『前に来た時はそこかしこから採掘の音が聴こえてたのに……』
入ってすぐ、異変に気づいて辺りを見回すエイミとミュー。
初めて来た時に聴こえてきたリズミカルに岩壁を叩く音が今はなく、洞窟内はしんと静まり返っていた。
『まだ災禍は目覚めてねえな。先にディグ村に寄ってくれ』
「何もないといいけどな……」
そうはいかないんだろうな、と内に含めたフォンドの呟き。彼の嫌な予感は的中してしまうことになる。
地下に降りてすぐ目につく案内看板に従ってディグ村を訪れた一行は、村を覆うようなどんよりとした空気に言葉を失った。
「これは……」
家の外を出歩く者はほぼおらず、唯一見かけた一人もがっくりと項垂れて重たい足を引き摺って。
この村に親しみ深い地精霊が真っ先に飛び出し、村人のもとへと近寄った。
『おうおめえ、どうした!?』
「あ、ガネットさまぁ……」
小柄なサニーと同じくらいの背丈で、ごつごつした筋肉と豊かで特徴的な髭がトレードマークのディグ村の住人は、見た目に反して弱々しく覇気のない声をあげた。
「なんだかここ最近、チカラが出ねえんだド……みんなフニャフニャしちまって、家で寝込んでるヤツもいるド……」
『もう災禍に気を吸われちまってるな……倒せば元に戻るだろうが』
「簡単に言ってくれるわね。伝説級の強大な魔物なんでしょ?」
プリエールが腕組みをして溜息を吐く。女神ですら封印止まりだった災禍を、女神にはまだまだだと評された自分たちが倒せるものだろうか、と。
『確かにまだレニには力及ばないかもしれねえが、レニの時と違っておめえらは一人じゃねえ。それに、封印を破壊して無理矢理引っ張り出せば、災禍のヤツも力を取り込みきれず弱った状態で出てくるだろうよ』
「えっ、わざわざ封印壊すって……だいぶ賭けだよね、それ……?」
『でも、賭けるだけの価値はある。おめえらはそれに届くだけ強くなった』
旅の最初期から見守っていた地精霊の言葉は力強く、ずしんとエイミたちの胸に響いた。
「ガネット様がお認めになった……あんたら、すげえド」
村人はふらつきながら武具屋へと向かい、
「今のあんたらになら、あの時売らなかった武具を……」
と、呟くと、すかさずサニーが目を輝かせた。
「くれるのっ?」
「さすがにこっちも商売だド。けど、今度はちゃんと売ってやれるド」
最初から強い力をもつと、振り回されてしまうからと。
初めてここを訪れた時に、村人たちは一行にそう言ったが……
「わたしたち、ちゃんと強くなったんですね!」
「だな!」
エイミとフォンドはどちらともなく顔を見合わせ、嬉しそうに笑うのだった。
南大陸、魔法都市マギカルーンの近くにある魔鉱石の洞窟だ。
「静か、ですね……」
『前に来た時はそこかしこから採掘の音が聴こえてたのに……』
入ってすぐ、異変に気づいて辺りを見回すエイミとミュー。
初めて来た時に聴こえてきたリズミカルに岩壁を叩く音が今はなく、洞窟内はしんと静まり返っていた。
『まだ災禍は目覚めてねえな。先にディグ村に寄ってくれ』
「何もないといいけどな……」
そうはいかないんだろうな、と内に含めたフォンドの呟き。彼の嫌な予感は的中してしまうことになる。
地下に降りてすぐ目につく案内看板に従ってディグ村を訪れた一行は、村を覆うようなどんよりとした空気に言葉を失った。
「これは……」
家の外を出歩く者はほぼおらず、唯一見かけた一人もがっくりと項垂れて重たい足を引き摺って。
この村に親しみ深い地精霊が真っ先に飛び出し、村人のもとへと近寄った。
『おうおめえ、どうした!?』
「あ、ガネットさまぁ……」
小柄なサニーと同じくらいの背丈で、ごつごつした筋肉と豊かで特徴的な髭がトレードマークのディグ村の住人は、見た目に反して弱々しく覇気のない声をあげた。
「なんだかここ最近、チカラが出ねえんだド……みんなフニャフニャしちまって、家で寝込んでるヤツもいるド……」
『もう災禍に気を吸われちまってるな……倒せば元に戻るだろうが』
「簡単に言ってくれるわね。伝説級の強大な魔物なんでしょ?」
プリエールが腕組みをして溜息を吐く。女神ですら封印止まりだった災禍を、女神にはまだまだだと評された自分たちが倒せるものだろうか、と。
『確かにまだレニには力及ばないかもしれねえが、レニの時と違っておめえらは一人じゃねえ。それに、封印を破壊して無理矢理引っ張り出せば、災禍のヤツも力を取り込みきれず弱った状態で出てくるだろうよ』
「えっ、わざわざ封印壊すって……だいぶ賭けだよね、それ……?」
『でも、賭けるだけの価値はある。おめえらはそれに届くだけ強くなった』
旅の最初期から見守っていた地精霊の言葉は力強く、ずしんとエイミたちの胸に響いた。
「ガネット様がお認めになった……あんたら、すげえド」
村人はふらつきながら武具屋へと向かい、
「今のあんたらになら、あの時売らなかった武具を……」
と、呟くと、すかさずサニーが目を輝かせた。
「くれるのっ?」
「さすがにこっちも商売だド。けど、今度はちゃんと売ってやれるド」
最初から強い力をもつと、振り回されてしまうからと。
初めてここを訪れた時に、村人たちは一行にそう言ったが……
「わたしたち、ちゃんと強くなったんですね!」
「だな!」
エイミとフォンドはどちらともなく顔を見合わせ、嬉しそうに笑うのだった。
