45:天へと続く道
ルクシアルのすぐそば、光溢れる“きらめきの森”は凶暴な魔物がほとんどおらず、入り口付近くらいなら散歩やピクニックに訪れる者がいるくらいの静かな森だった。
それが今は突然踏み入ってきた侵入者によって、日頃見かけるような動物や小さな魔物はどこかに隠れてしまったのか姿を消し、その代わりに……
「ひどい……」
「ルクシアルの町を襲ったヘンテコ人形……だけじゃない」
そこには“死”が満ちていた。
倒れ伏すもの、バラバラになったもの。そうして戦闘不能になった表情のない自動人形の他に、あちこちに倒れている“それ以外”のもの。
悪魔と、この辺りでは見かけることのない魔物たち。それらはノクスが連れてきたものではない。
「まさか、三つの脅威全てがここに集まっているってこと!?」
「しかもお互いに潰し合ってる……下手したら、ノクスも危ないんじゃ?」
急がなきゃいけない理由が増え、ぴりりとした緊張感が走る。
森の構造自体は以前と変わらないため道に迷うことはなかったが、途中で三勢力どれかの生き残りと遭遇し、戦闘しながら進むことに。
それでもどうにか以前に光精霊ディアマントと出会った場所まで辿り着くと、その先の木々が分かれて新たな道ができていた。
「この奥に霊峰への道が……?」
『そうじゃ。侵入者どもの戦いも激しくなっておるな』
普段の陽気さが鳴りを潜めたディアマントは真剣な声音で奥に続く道を睨む。
「ちゃっちゃと進むわよ。どのみち“星の庭”にはあたしたちも用があるんだから」
『まあ、霊峰に入れたからといってすぐに星の庭に行ける訳ではないがの』
「えっ、そうなの?」
『当たり前じゃ。もしそんな簡単じゃったら神殿の管理者がホイホイ行っとるわい』
だから実際には多少の猶予がある、と溜息まじりに彼は答える。
そこに続いて現れたのは、木精霊のベルシュだった。
『霊峰は星の庭への扉を開く鍵がある場所。実際の入り口は遥か空の上だよ!』
彼女が指し示したのは、頂が霞む霊峰のさらに上空。そんなところに行けるとしたら……
『そんなの、竜騎士であるエイミと私ぐらいしか……ううん、あんな高い空は私も飛べるかどうか……』
「仮に飛べたとしても、ミューにみんなを一人ずつ運んでもらうのは時間がかかるし負担も大きいわ」
空を仰ぎながら、エイミが眉を潜める。
するとベルシュがポンと手を打ち、
『あーそっか。確かにレニちんも最初は自力じゃ行けなかったっけ。フリュりゅんのチカラを借りなきゃね!』
「フリュ……え?」
彼女があげた明らかに正式名称ではなさそうな名前に、一同が目を瞬かせた。
『海にはシュヴィナーレがおるように、空にも聖獣がいるんじゃよ。翼の聖獣フリュエラ……ここからは見えんだろうが、星の庭の入り口近くをよく飛び回っとる』
「翼の聖獣、フリュエラ……」
ディアマントの説明を聞いて改めて見上げてもそれらしき影は見えないが、聖獣と呼ばれるような存在ならば光魔法を応用した“幻惑の衣”のように、こちらの目を欺くことも可能なのだろうか。
「もう少し進めば霊峰の入り口に辿り着くはず。話はそれからだよ!」
星の庭より先に、霊峰を……ノクスを追いかけなければ。
焦りを飲み込んだモーアンの声に、一同は頷き、歩調を速めた。
それが今は突然踏み入ってきた侵入者によって、日頃見かけるような動物や小さな魔物はどこかに隠れてしまったのか姿を消し、その代わりに……
「ひどい……」
「ルクシアルの町を襲ったヘンテコ人形……だけじゃない」
そこには“死”が満ちていた。
倒れ伏すもの、バラバラになったもの。そうして戦闘不能になった表情のない自動人形の他に、あちこちに倒れている“それ以外”のもの。
悪魔と、この辺りでは見かけることのない魔物たち。それらはノクスが連れてきたものではない。
「まさか、三つの脅威全てがここに集まっているってこと!?」
「しかもお互いに潰し合ってる……下手したら、ノクスも危ないんじゃ?」
急がなきゃいけない理由が増え、ぴりりとした緊張感が走る。
森の構造自体は以前と変わらないため道に迷うことはなかったが、途中で三勢力どれかの生き残りと遭遇し、戦闘しながら進むことに。
それでもどうにか以前に光精霊ディアマントと出会った場所まで辿り着くと、その先の木々が分かれて新たな道ができていた。
「この奥に霊峰への道が……?」
『そうじゃ。侵入者どもの戦いも激しくなっておるな』
普段の陽気さが鳴りを潜めたディアマントは真剣な声音で奥に続く道を睨む。
「ちゃっちゃと進むわよ。どのみち“星の庭”にはあたしたちも用があるんだから」
『まあ、霊峰に入れたからといってすぐに星の庭に行ける訳ではないがの』
「えっ、そうなの?」
『当たり前じゃ。もしそんな簡単じゃったら神殿の管理者がホイホイ行っとるわい』
だから実際には多少の猶予がある、と溜息まじりに彼は答える。
そこに続いて現れたのは、木精霊のベルシュだった。
『霊峰は星の庭への扉を開く鍵がある場所。実際の入り口は遥か空の上だよ!』
彼女が指し示したのは、頂が霞む霊峰のさらに上空。そんなところに行けるとしたら……
『そんなの、竜騎士であるエイミと私ぐらいしか……ううん、あんな高い空は私も飛べるかどうか……』
「仮に飛べたとしても、ミューにみんなを一人ずつ運んでもらうのは時間がかかるし負担も大きいわ」
空を仰ぎながら、エイミが眉を潜める。
するとベルシュがポンと手を打ち、
『あーそっか。確かにレニちんも最初は自力じゃ行けなかったっけ。フリュりゅんのチカラを借りなきゃね!』
「フリュ……え?」
彼女があげた明らかに正式名称ではなさそうな名前に、一同が目を瞬かせた。
『海にはシュヴィナーレがおるように、空にも聖獣がいるんじゃよ。翼の聖獣フリュエラ……ここからは見えんだろうが、星の庭の入り口近くをよく飛び回っとる』
「翼の聖獣、フリュエラ……」
ディアマントの説明を聞いて改めて見上げてもそれらしき影は見えないが、聖獣と呼ばれるような存在ならば光魔法を応用した“幻惑の衣”のように、こちらの目を欺くことも可能なのだろうか。
「もう少し進めば霊峰の入り口に辿り着くはず。話はそれからだよ!」
星の庭より先に、霊峰を……ノクスを追いかけなければ。
焦りを飲み込んだモーアンの声に、一同は頷き、歩調を速めた。
