40:思い出との再会
地精霊ガネットが大精霊の圧力……脅し……もとい、威厳で番人に道を開けさせて、エイミたちはシルワの大樹海のさらに奥へと進んだ。
『い、一応オレっちも女神様に力を託された連中が現れたヤバさはわかってっからな? 脅しに屈したから通してやるワケじゃねえぞ!?』
『人聞き悪ぃなあ』
『うぐっ』
森の番人ミハルことミハリソウはガネットのひと睨みでびくりと全身を竦ませながらも言葉を続ける。
『……ただ、ベルシュ様のもとに向かうならエルフの集落は避けて通れねえ。気難しいエルフたちの対応まではオレっちにはどうすることもできねえからな!』
「それで構いません。ありがとうございます」
おそらくエルフからここを守るように言われているであろうミハルに、奥へ通してもらえただけでも御の字だ。
エイミはぺこりと頭を下げ、蔦の壁に開いた穴を潜っていく。
彼女を先頭にぞろぞろと仲間が続くのを見送っていたミハルだったが、ふいに『あ!』と声をあげた。
『おい、そこの黒髪の兄ちゃん! アンタその赤い目、ハーフエルフだろ?』
「? ああ、そうだが……エルフに忌み嫌われてるって話ならもう、」
『ああいや、なんというか……まあ、行けばわかるか。オレっちが勝手に話すことじゃねえしな』
どうにも煮え切らない物言いにシグルスが顔をしかめる。嫌われている以外にまだ何かあるのだろうか……どうせろくなことではないのだろうと思いながら。
「とりあえずさっさと行くか。嫌なことは早く済ませてしまいたいしな」
「じゃあまたね、ミハルっち!」
『ミハルっちっておまえ……おう、気をつけてなー』
元気よく手を振るサニーに同様にして応えるミハル。やがて彼女たちの姿が森の奥地へと消えていくのを見送って、はぁ、と溜息を吐いた。
『……ま、離れてもオレっちからはお前らのこと見えてるんだけどな』
伊達にミハリソウなんて呼ばれてねえよと呟いて。
彼の一部である蔦や草花は、この森のあらゆるところに存在しているのだから。
『ああ、大丈夫だ。ミハリソウの役目は忘れてねぇ。だからアイツらを通したんだ……排除するべき“侵入者”じゃねえからな』
森の番人、ミハリソウ。彼が本気を出せば、エイミたちだって森の奥へ足を踏み入れることはできないだろう。
幾度となく同じ道を繰り返し、疲れ果てたところで出口へと誘う。この森は、招かれざる者をそうやって排除してきた。
ほんの少しの綻びを見つけて“壁”まで辿り着いたとしても、番人が否とすれば結果は同じ。
『アイツらなら、きっと……』
緑に覆われた空を見上げるミハリソウに、ひらひらと蝶たちが集まった。
『い、一応オレっちも女神様に力を託された連中が現れたヤバさはわかってっからな? 脅しに屈したから通してやるワケじゃねえぞ!?』
『人聞き悪ぃなあ』
『うぐっ』
森の番人ミハルことミハリソウはガネットのひと睨みでびくりと全身を竦ませながらも言葉を続ける。
『……ただ、ベルシュ様のもとに向かうならエルフの集落は避けて通れねえ。気難しいエルフたちの対応まではオレっちにはどうすることもできねえからな!』
「それで構いません。ありがとうございます」
おそらくエルフからここを守るように言われているであろうミハルに、奥へ通してもらえただけでも御の字だ。
エイミはぺこりと頭を下げ、蔦の壁に開いた穴を潜っていく。
彼女を先頭にぞろぞろと仲間が続くのを見送っていたミハルだったが、ふいに『あ!』と声をあげた。
『おい、そこの黒髪の兄ちゃん! アンタその赤い目、ハーフエルフだろ?』
「? ああ、そうだが……エルフに忌み嫌われてるって話ならもう、」
『ああいや、なんというか……まあ、行けばわかるか。オレっちが勝手に話すことじゃねえしな』
どうにも煮え切らない物言いにシグルスが顔をしかめる。嫌われている以外にまだ何かあるのだろうか……どうせろくなことではないのだろうと思いながら。
「とりあえずさっさと行くか。嫌なことは早く済ませてしまいたいしな」
「じゃあまたね、ミハルっち!」
『ミハルっちっておまえ……おう、気をつけてなー』
元気よく手を振るサニーに同様にして応えるミハル。やがて彼女たちの姿が森の奥地へと消えていくのを見送って、はぁ、と溜息を吐いた。
『……ま、離れてもオレっちからはお前らのこと見えてるんだけどな』
伊達にミハリソウなんて呼ばれてねえよと呟いて。
彼の一部である蔦や草花は、この森のあらゆるところに存在しているのだから。
『ああ、大丈夫だ。ミハリソウの役目は忘れてねぇ。だからアイツらを通したんだ……排除するべき“侵入者”じゃねえからな』
森の番人、ミハリソウ。彼が本気を出せば、エイミたちだって森の奥へ足を踏み入れることはできないだろう。
幾度となく同じ道を繰り返し、疲れ果てたところで出口へと誘う。この森は、招かれざる者をそうやって排除してきた。
ほんの少しの綻びを見つけて“壁”まで辿り着いたとしても、番人が否とすれば結果は同じ。
『アイツらなら、きっと……』
緑に覆われた空を見上げるミハリソウに、ひらひらと蝶たちが集まった。
