34:取り戻すための戦い
ドラゴニカの城に潜入したら、やることは主にふたつ。
ひとつは玉座の間へ向かい、ここを仕切っているであろうリーダーを倒すこと。
もうひとつはガルディオに破壊された城の結界を復活させることで、結界の元となる女神像は玉座の間と、祈りの間にある。
『玉座の間は上の階で、祈りの間は地下にあるわ』
「城内は大人数では戦いにくそうだし、異変に気づかれる前に迅速にことを運びたい。二手にわかれるぞ」
城を知るミューの言葉から、シグルスは仲間たちの顔をぐるり見渡した。
メンバーは六人。それぞれの役割にあわせて半々で分けるなら……
「エイミは玉座の間に行くとして、残りはどうしようか?」
「悪いけど、オレはより強い魔族と戦える方に行きたいんだ。何か手がかりが掴めるかもしれないからな」
真っ先に進み出たのはフォンドだった。家族同然に育った人たちが魔界に関わっているのだから、当然の話だろう。
「はいはい! アタシ、地下に行くよ。引っ掻き回すのも得意だし!」
「そういうことならあたしもそっちで派手に暴れるわ。お城は壊さないようちゃんとコントロールするわよ」
「そうなると俺が盾役でついて行った方がいいだろうな。プリエールの詠唱時間を稼ぐ必要がある」
サニーは撹乱。プリエールは陽動。そしてシグルスはふたりの護衛役として祈りの間への道を選んだ。
「なるほど。玉座の間に向かう方が強敵との戦いで傷を負うことも多くなるだろうから、僕はそっちで回復役ってことだね」
『意外とあっさり決まったわね。いいじゃない』
話がまとまったのを見るや、白い火の玉――光の精霊ディアマントがゆらりと姿を現した。
『結界を強化すれば新たに城に魔族や魔物が入ることはなくなるじゃろう。内部にいる連中にも多少なりとも影響があるハズじゃ』
「それならなおさら、早く地下に行かないとね!」
そう言って別々に動きだしたのが、少し前のことだった。
下の方からプリエールの魔法が起こしたのだろう爆発音が聴こえ、フォンドとモーアンが顔を見合わせる。
「派手にやってるなあ」
「確かに宣言してたけどね……」
『お城、壊されたりしないかしら……』
一応、壊さないようにコントロールするとも言っていたが……しばらく接してわかったのは、プリエールは道行く人が思わず振り返るような麗しさに反して、案外大雑把だということだ。
ほんのしばしの間だが、彼らの間に妙な沈黙が流れる。
「な、なるべく早く片をつけましょう。玉座の間はもうすぐそこですから!」
「お、おう! さっさとやっつけちまおうぜ!」
彼女なら大丈夫だろうという信頼と、彼女ならやりかねないという不安がないまぜになりながら、エイミたちはそれを勢いで誤魔化すのだった。
ひとつは玉座の間へ向かい、ここを仕切っているであろうリーダーを倒すこと。
もうひとつはガルディオに破壊された城の結界を復活させることで、結界の元となる女神像は玉座の間と、祈りの間にある。
『玉座の間は上の階で、祈りの間は地下にあるわ』
「城内は大人数では戦いにくそうだし、異変に気づかれる前に迅速にことを運びたい。二手にわかれるぞ」
城を知るミューの言葉から、シグルスは仲間たちの顔をぐるり見渡した。
メンバーは六人。それぞれの役割にあわせて半々で分けるなら……
「エイミは玉座の間に行くとして、残りはどうしようか?」
「悪いけど、オレはより強い魔族と戦える方に行きたいんだ。何か手がかりが掴めるかもしれないからな」
真っ先に進み出たのはフォンドだった。家族同然に育った人たちが魔界に関わっているのだから、当然の話だろう。
「はいはい! アタシ、地下に行くよ。引っ掻き回すのも得意だし!」
「そういうことならあたしもそっちで派手に暴れるわ。お城は壊さないようちゃんとコントロールするわよ」
「そうなると俺が盾役でついて行った方がいいだろうな。プリエールの詠唱時間を稼ぐ必要がある」
サニーは撹乱。プリエールは陽動。そしてシグルスはふたりの護衛役として祈りの間への道を選んだ。
「なるほど。玉座の間に向かう方が強敵との戦いで傷を負うことも多くなるだろうから、僕はそっちで回復役ってことだね」
『意外とあっさり決まったわね。いいじゃない』
話がまとまったのを見るや、白い火の玉――光の精霊ディアマントがゆらりと姿を現した。
『結界を強化すれば新たに城に魔族や魔物が入ることはなくなるじゃろう。内部にいる連中にも多少なりとも影響があるハズじゃ』
「それならなおさら、早く地下に行かないとね!」
そう言って別々に動きだしたのが、少し前のことだった。
下の方からプリエールの魔法が起こしたのだろう爆発音が聴こえ、フォンドとモーアンが顔を見合わせる。
「派手にやってるなあ」
「確かに宣言してたけどね……」
『お城、壊されたりしないかしら……』
一応、壊さないようにコントロールするとも言っていたが……しばらく接してわかったのは、プリエールは道行く人が思わず振り返るような麗しさに反して、案外大雑把だということだ。
ほんのしばしの間だが、彼らの間に妙な沈黙が流れる。
「な、なるべく早く片をつけましょう。玉座の間はもうすぐそこですから!」
「お、おう! さっさとやっつけちまおうぜ!」
彼女なら大丈夫だろうという信頼と、彼女ならやりかねないという不安がないまぜになりながら、エイミたちはそれを勢いで誤魔化すのだった。
