31:海の聖獣シュヴィナーレ
グリングラン沖の小島にある聖獣を祀る神殿の地下洞窟にて。
封印された扉を前にいよいよといった時に突然現れ、去っていった“禁呪の魔法士”が残したイカ型の巨大な魔物が、広間を破壊し尽くさんばかりに荒々しく触手を振り回して暴れている。
退路には魔物が立ち塞がり、どちらにも逃げ場はない。このまま放って置けば魔物にやられる以前に、エイミたちは崩れた瓦礫の下敷きとなってしまうだろう。
「じゃあやるしかないよね!」
「けどよ、あれだけ暴れ放題だと迂闊に近寄れねぇぞ?」
当たればひとたまりもないだろう太く長い魔物の触手の動きは広範囲をカバーし、前衛に近接攻撃を仕掛ける隙を与えない。
攻めあぐねるエイミたちの後ろで、プリエールが魔法書を、モーアンが杖をそれぞれ構える。
「それなら魔法で怯ませるわ!」
「シグルスは火の魔法剣を、エイミは補助魔法を前衛にかけて! しばらく時間を稼いでくれ!」
「わかりました!」
火の魔力を帯びて赤く輝いた槍で切り払えば、小爆発を起こして触手を弾く。
更に魔法で上乗せした攻撃力は、山のような巨体もぐらつかせた。
「補助魔法ってすごいな……うんと強い敵相手でも戦えるようになるんだ」
と、何気なく呟いたサニーの前にひゅるんと風が吹き、精霊ラクトが現れる。
『少女よ、やりたいことがあるのだな?』
「うん。ラクトおじちゃん、力を貸して!」
淡い緑の光がサニーの両手に集まり、弾けて無数の風となって魔物の全身に絡みつく。
「不吉の風よ、纏わりつけっ!」
ちょうどそこに攻撃しようとしたフォンドの拳が、すうっと吸い込まれて深く突き刺さった。
「なんだぁ!? 急に手応えが……」
「魔物に魔法をかけて、みんなの攻撃を吸い寄せるようにしたんだ。当たる瞬間勢いがついていつもより強烈にヒットするよ~!」
サニーの術は相手の周囲に風を纏わせ、攻撃を引き寄せてダメージを受けやすくするものだ。
実質的には相手の防御力と回避能力を下げる魔法で、こちらが強化や属性付与をかけた状態とあわさると威力も数倍に跳ね上がる。
「こっちも準備できたわ! くらいなさいっ!」
後方からプリエールが火の玉を飛ばし、魔物の正面に直撃させる。
衝撃にずるりと崩れた体勢。炎が当たった箇所から、丸い物体が露出する。
『エイミ、あれ! あれ狙って!』
「わかったわ!」
素早くミューに飛び乗ると、エイミは球体めがけて全力で突撃をかける。
加速を乗せた槍がズドンッと豪快に突き刺さり、咆哮のような音がこだました。
封印された扉を前にいよいよといった時に突然現れ、去っていった“禁呪の魔法士”が残したイカ型の巨大な魔物が、広間を破壊し尽くさんばかりに荒々しく触手を振り回して暴れている。
退路には魔物が立ち塞がり、どちらにも逃げ場はない。このまま放って置けば魔物にやられる以前に、エイミたちは崩れた瓦礫の下敷きとなってしまうだろう。
「じゃあやるしかないよね!」
「けどよ、あれだけ暴れ放題だと迂闊に近寄れねぇぞ?」
当たればひとたまりもないだろう太く長い魔物の触手の動きは広範囲をカバーし、前衛に近接攻撃を仕掛ける隙を与えない。
攻めあぐねるエイミたちの後ろで、プリエールが魔法書を、モーアンが杖をそれぞれ構える。
「それなら魔法で怯ませるわ!」
「シグルスは火の魔法剣を、エイミは補助魔法を前衛にかけて! しばらく時間を稼いでくれ!」
「わかりました!」
火の魔力を帯びて赤く輝いた槍で切り払えば、小爆発を起こして触手を弾く。
更に魔法で上乗せした攻撃力は、山のような巨体もぐらつかせた。
「補助魔法ってすごいな……うんと強い敵相手でも戦えるようになるんだ」
と、何気なく呟いたサニーの前にひゅるんと風が吹き、精霊ラクトが現れる。
『少女よ、やりたいことがあるのだな?』
「うん。ラクトおじちゃん、力を貸して!」
淡い緑の光がサニーの両手に集まり、弾けて無数の風となって魔物の全身に絡みつく。
「不吉の風よ、纏わりつけっ!」
ちょうどそこに攻撃しようとしたフォンドの拳が、すうっと吸い込まれて深く突き刺さった。
「なんだぁ!? 急に手応えが……」
「魔物に魔法をかけて、みんなの攻撃を吸い寄せるようにしたんだ。当たる瞬間勢いがついていつもより強烈にヒットするよ~!」
サニーの術は相手の周囲に風を纏わせ、攻撃を引き寄せてダメージを受けやすくするものだ。
実質的には相手の防御力と回避能力を下げる魔法で、こちらが強化や属性付与をかけた状態とあわさると威力も数倍に跳ね上がる。
「こっちも準備できたわ! くらいなさいっ!」
後方からプリエールが火の玉を飛ばし、魔物の正面に直撃させる。
衝撃にずるりと崩れた体勢。炎が当たった箇所から、丸い物体が露出する。
『エイミ、あれ! あれ狙って!』
「わかったわ!」
素早くミューに飛び乗ると、エイミは球体めがけて全力で突撃をかける。
加速を乗せた槍がズドンッと豪快に突き刺さり、咆哮のような音がこだました。
