勇者S物語2

~勇者、ふたたび~

―――魔王を倒し、世界は平和を取り戻したかに見えた。

……が、安息の時は長くは続かない。

 第二の魔王ともいうべき存在が現れ、平和を脅かし始めたのだ。


 今、世界を救うべく勇者達は再び立ち上がる―――


『おはよう。起きなさい、私の可愛い勇者』

勇者「………」

『……勇者?』

勇者「へんじがない。ただのしかばねのよ」

『早よ起きろっつってんだろがコラァァァッ!!』

―バサァッ!―

 勇者はベッドから転げ落ちた!
 2のダメージを受けた!

勇者「…朝っぱらから勇者にダメージを負わせるとはどういうつもりだ、戦士」

戦士「やかましいわ! 変なセリフ言わせやがって……しかも『言ってくれたら起きる』って言いながら起きねぇし!!」


――彼等は、かつて魔王を倒したという二人組。

勇者「……で、何の用だ?」

 彼は伝説の勇者。
……などと言いながら実際には自分で行動は起こさず、己の手は汚さない主義。
 超が付くドSっ子。

戦士「王様から呼び出しがあったんだよ! たぶん、新たに現れた魔王の事だ」

 このおかんみたいな青年は戦士。
 前回の戦いで苦戦の末魔王を倒したのも彼だが、その事は世間には知られていない。

 勇者に虐げられてながらなんだかんだ言って離れないのは、そういう趣味だからという噂が……

戦士「何いい加減なナレーション入れてんだ!!」

勇者「ナレーションにツッコミ入れても無駄だぞ。それより、また旅が始まるんだな」

戦士「……ああ」

勇者「またお前と旅をするのか」

戦士「それはこっちのセリフだ……またお前にこき使われて、酷い目に遭うのか……」

 それでも勇者と共にいるという事はやっぱり……

戦士「ナレーション黙れェェェ!!」

勇者「クククッ……行くぞ、戦士。嫌とは言わせん」

戦士「って早くも黒い笑み!? い、嫌だァァァァァァッ!!」


 こうして、勇者と戦士は新たな冒険へ旅立つのであった。
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