勇者S物語

~決戦、そして~

魔王「なんかエラく待たされたが……よく来たな勇者共!」

戦士「その件については全くもって申し訳ないと……じゃなくって、魔王! お前の野望もここまでだ!!」

勇者「お~お~、熱いねぇ」

魔王「って何この傍観者っぷり!?」

戦士「すいません、この子こういう奴なんです」

勇者「ほれ、行ってこい戦士」

戦士「魔王とタイマンかよ」

魔王「いくら何でもナメ過ぎじゃね?」

勇者「大丈夫、お前なら出来る。幾多の戦いをたった一人で乗り越え、時には傷つき倒れた事もあったが……それでも尚立ち上がり、決して諦めないその姿は俺の心に強く残っている」

戦士「勇者……」

魔王「今たった一人でって言ったよね? 今までずっと見てただけなのあの勇者?」

勇者「……フ、魔王……コイツは一人でも貴様を倒せるくらい無駄にレベル上げしまくったんだ」

魔王「ホントに無駄だな! ってかたまには手伝ってやれよ、可哀想だから!!」

勇者「勿論、適度に苦戦するくらいには止めてある。そうでなくては面白くないからな……俺が」

魔王「お前……」

戦士「……言うな」

 魔王の哀れむようなまなざし!
 戦士は心に48ポイントのダメージを受けた。

勇者「さぁ行け」

戦士「う……っ、ちくしょおぉぉぉ!!」


―――そして、伝説が生まれる。

 世界を救った、勇者の伝説が…


……ちなみに。

魔王「伝説というのは随分都合良く造られるモノだな……飲むか? 今日は奢るぞ」

戦士「……ああ……」

 激しい戦いの末、二人の間には友情が芽生えたとか。
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