勇者S物語

~城にて~

王様「よく来たな、勇者よ。勇者が次のレベルに上がるにはあと1101074の経験が必要じゃ……」



勇者「毎回思うんだが王様はなんで俺達の経験値とか次のレベルとかわかるんだ?」

戦士「そりゃあ王の眼力って奴だろう……っていうか王様の前なんだからもっとしゃんとしろよ、勇者」

勇者「戦士のくせにおかん気取りか。しかし、かなりレベルが上がったな」

戦士「ああ。もう最初の頃の魔物じゃあ経験値の足しにもならないな」

勇者「……それだ」

戦士「は?」

勇者「経験値1ケタ、良くて2ケタな最初の頃の雑魚をいたぶりに行くぞ!」

戦士「おいおい、何の意味があって!? 大体次のレベルまで百万くらい稼がなきゃいけないって王様が……」

勇者「一体どれだけの数の屍が転がるだろうな? クックックッ……」

戦士「こいつ魔物を絶滅させる気だ!!」

勇者「この俺に歯向かう魔物など……根絶やしにしてやる」

戦士「なんかコイツの方が魔王に見えてきた……っていうか違うだろ! 勇者っていうのはこう、強さの中に見える優しさとか……」

勇者「お前勇者に幻想抱き過ぎじゃね?」

戦士「なんで俺がおかしいみたいに言われなきゃいけねぇんだ!!」

勇者「恐怖に歪む魔物共の顔が目に浮かぶ……さぁ行くぞ」

 そうして二人はもはや用もほぼなくなった冒険のはじまりの街付近へと繰り出した。



 一方その頃、魔王の居城では…

魔王「………遅いなぁ」

 魔王は待惚けをくらわされていた。
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