元祖勇者S物語

~悪・即・……~

 勇者一行は小さな村に立ち寄った。
 だが村人達の表情は暗く沈んで、まるでこの世の終わりのようだ。

勇者「なんだ、ジメジメと辛気臭いなぁ」
戦士「そ、そんな言い方はないだろ!? きっと何か事情があるんだ」

 勇者達は村の長に話を聞いた。

 村を魔物が襲い、食糧や金品を略奪してさらには若い娘までさらって行ってしまったという。

勇者「なるほど、ベタな話だな」
戦士「ベタ言うな」
勇者「だけど、放って置く訳にはいかないなぁ……」
戦士「勇者……? そ、そうだよな! 何だかんだ言ってお前もちゃんと正義の心ってヤツが……」
勇者「そんな悪いヤツは……村を救うという大義名分のもと、正義の勇者に何をされても文句は言えないよなっ★」
魔法使い「泣かして泣かして這いつくばらせて生まれてきた事を後悔させちゃえばイイと思いまーす♪」
戦士「にこやかにえげつねぇ事言うな! くそぅちょっとでも感動した俺が馬鹿だった!!」
勇者「うん君は馬鹿だよねホント」
戦士「真顔で言うなよムカつくな!」
魔法使い「きゃははっ、バーカバーカ☆」
戦士「むぎぃぃぃぃぃっ!」

……その後、洞窟の魔物は勇者一行に退治された。

 奪われた食糧や金品、そしてさらわれた娘も無事見つかった。

戦士「終わったな……」
勇者「戦士は娘さんを連れて先に村に戻っててくれ。俺達は……やり残した事がある」
戦士「? お、おう……わかった」

 こうして今回の事件は幕を下ろした。

 そして……

勇者「おイタが過ぎた魔物はどうやって料理しよっかな~♪」
魔法使い「二度とそんな気を起こさないようにたっぷりと躾てあげなきゃね☆」

 爽やかドSコンビの手により、魔物は泣かされて泣かされて這いつくばらされて、生まれてきた事を後悔させられるのだった。
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