勇者S物語5

~賢者登場~

???「勇者妹なんて呼ばないでちょうだい。あたしは魔法のエキスパート、賢者よ」

勇者「賢者は武者修行の旅に出ていたんだ……何故帰って来た?」

戦士「勇者、久し振りに会った妹さんにそんな言い草はないだろ!?」

魔王「修行と言うが、小さな娘が一人でか?」

賢者「武者修行と言うより雑魚苛めツアーね。そしたら最近魔物が減ってきたし、この馬鹿男が魔王を倒したとかそんな話が飛び込んできたから帰って来た訳」

戦士「今さらりと雑魚苛めツアーって……」

賢者「魔物が少なくなったからつまんないったらないわ。よくも余計な事してくれたわね!」

勇者「ちなみに賢者は敢えて弱い魔法でじわじわといたぶるのが好きなんだ」

戦士「兄も兄なら妹も妹だー!!」

勇者「失礼な、俺は自ら手は下さん。野蛮な賢者と一緒にするな」

魔王「我から見ればどっちもどっちなのだが……」

戦士「たぶん何か違うんだろうな、アイツらには」

大魔王「賢者……」

賢者「何このウザ虫」

 賢者の言葉責め!

 大魔王はゾクゾクしている!!

戦士「ゾクゾクするな!!」

勇者「ククッ……罵ってくれれば誰でも良いようだな、大魔王」

大魔王「勇者様っ!?」

 大魔王は我に返った!

大魔王「違っ……余には勇者様の罵倒だけが……っ」

勇者「はん、どうだかな?」

魔王「何故浮気を目撃された言い訳のようになるのだ」

戦士「大魔王、いろいろ手遅れなヤツ……」

賢者「大魔王ですって? それにそこの黒マント……まさか魔王?」

勇者「今じゃすっかり腑抜けだがな」

魔王「勇者としてその台詞もどうかと思うが……」

大魔王「そうか? 余は大いにときめくが」

魔王「わかった貴様もう喋るな」

賢者「魔王に大魔王……そんな奴等を手懐けるなんて……」

魔王「我は手懐けられた覚えはないが」

賢者「……邪魔な勇者を始末する大義名分が出来たって訳ね」

 賢者は邪悪な笑みを浮かべた。

戦士「兄も妹もこんなんばっかりか!!」

賢者「で、アンタは何?」

戦士「お、俺……?」

 賢者は戦士をジロジロと見つめている。

賢者「エプロンにお玉……使用人付きなんていい身分ね、勇者」

戦士「俺は戦士ッ!!」
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