勇者S物語4

 そんな訳で突然勇者達の前に現れたもう一人の勇者。

勇者B「……まぁいい。Bなどという名に甘んじているのも僅かの間だけだ。君を倒し、僕が真の勇者になるのだからな!」

勇者「なれば?」

勇者B「もうちょっと話に乗ろうよォォォ!! コミュニケーションは相手に興味をもつ事からだよ!?」

戦士「すみませんこの子こういう子なんです」

勇者B「ふふ……だが僕は知っているぞ。今の平和が勇者の力によるものではない事を!」

勇者「そうだが何か?」

魔王「うわ、あっさりと」

勇者B「う、図太さだけはかなりのものだな……こんなヤツが勇者だなんて、僕は認めないぞ」

勇者「どいつもこいつも勇者に夢抱き過ぎじゃないか?」

魔王「そうかもしれぬがお前はもう少しこう……勇者以前の問題が」

勇者B「そもそもそうやって魔王と共にいるが、そいつらが裏切ったらどうするつもりだ?」

魔王「なっ……」

大魔王「なんだと!? 余は勇者様に身も心も調教され尽くした! 勇者様を裏切りなどせぬわ!!」

戦士「言い切るな!!」

勇者B「ならその勇者が世界を脅かす存在になったら?」

大魔王「うっ……言い返せん」

魔王(嬉々として手先になり破壊の限りを尽くしそうだからなぁ、こやつ)

戦士(しかも勇者も一度世界を脅かしてるし)

勇者B「そうだ、やはり君は危険だ……だから僕が君を倒して勇者になる!」

勇者「勝手にすれば」

大魔王「あぁ、心が折れんばかりのスルーっぷり……さすが勇者様っ」

魔王「うっとり見つめるな!」

勇者B「伝説の勇者がこんなヤツとは……戦士、君はここにいていいのか?」

戦士「へっ、俺?」

勇者B「僕が調べた所によると実際に世界を救ったのは君……そして当の勇者はそれを見ていただけだという」

戦士「……」

勇者B「そんな仲間を仲間とも思わないようなヤツや魔王共と一緒にいては……」

勇者「おい、ガキ……黙って聞いていれば調子に乗りやがって。そんなに言うなら相手をしてやろうじゃないか」

魔王「む、急にやる気に……」

勇者「ただし……後悔するなよ? 泣いて謝っても許す気はさらさらないからな」

戦士「どこの悪役のセリフだよ!? つーか前途ある若者の未来を潰しちゃダメ!!」

勇者B「潰す、って……」

魔王「あやつがその気になったら……考えただけで恐ろしいな」

戦士「ああ。これ以上は俺の口からはとても……」

大魔王「勇者様……素敵だ……」

 大魔王はゾクゾクしている!

勇者B「えぇぇぇぇ!?」
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