勇者S物語3

――三度訪れた世界の危機は無事に去った。

 今回の戦士達の活躍も、表には知られる事なく……
 事件の黒幕が黒幕だっただけに、有耶無耶に片付けられた。


戦士「こうして考えると結構アバウトだな、この世界の人達って」

魔王「多少アバウトなくらいがいいのかもしれぬがな」

大魔王「勇者様、お茶が入りましたぁ!」

勇者「……温いぞ、茶も満足に淹れられないのかこの無能が。っていうか何故貴様らがここにいるんだ魔王コンビ」

大魔王「あ、今のキュンて来た」

魔王「キュンて来るなよ……それは戦士が是非にとな?」

戦士「今回の件じゃ世話になったから、お礼も兼ねて晩飯くらい食べていけって……」

勇者「む」

戦士「心配すんなって、シチューはたっぷりあるからさ」

魔王「好物を取られる心配などと、勇者も案外子供なのだな」

勇者「……うるさい」



 それは、束の間の平穏なのかもしれない。

 平和を乱す者が現れれば、人々はまた勇者を必要とするだろう。

 その時まで、しばしの休息を……――


勇者「ククッ……次は何をして遊ぼうか?」

戦士「お前が真っ先に平和を乱しそうだ……」
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