勇者S物語3

魔王「こうして歩いていると、思い出すな。かつての旅を」

大魔王「そういえば、貴様らは勇者様と共に旅をしたのだったな……くそぅ、羨ましい」

戦士「そんないいモノじゃねーけどな……特に、勇者と二人旅だった頃は……」


―回想―

戦士「はぁっ、はぁ……うぉぉぉぉぉっ!!」

―ザシュッ!!―

勇者「モンスターを倒した!」

戦士「倒した!じゃねぇよなんでナレーションに徹してるんだよお前」

勇者「いやいや、今回も見事な傷つきっぷり…………剣さばきだったぞ戦士」

戦士「言い直してもダメだから」

勇者「だがそろそろ消耗がひどいな。次の街まで随分あるし、回復してやろう」

戦士「え……って騙されねぇぞ。ここまで人が必死に戦ってるのを嬉々として観戦してるだけの方が仲間として間違ってるんだ」

勇者「……チッ」

戦士「けど、まぁ……ありがとな勇者」

勇者「フン……いくぞ。」

 勇者は回復魔法を唱えた!

勇者「回復~(弱)」

―ピロリロリン♪―

 戦士の体力がほんのり回復した!

勇者「こんなモンでいいだろう」

戦士「ってオイ勇者さんよ、俺けっこうフラフラのボロボロなんだが……」

勇者「知ってる。だから(弱)にした」

戦士「『だから』の使い方間違ってねぇ?」

勇者「ちなみに俺は回復魔法のエキスパートだ!」

戦士「じゃあケ●ルガとかベ●マみたいなの使えるだろ!? 回復してもらって言うのも何だけどなんでちょっぴりしか回復させないんだよ!」

勇者「そのくらいが丁度良いと思ったから」

戦士「なんだよ丁度良いって!!」

勇者「適度に傷ついてまた次のバトルも苦しんでくれ。次の戦いが終わったらまた回復(弱)してやるから。あと万が一力尽きそうになった時も回復(弱)してやる」

戦士「な、生殺し!? とことんひでぇなオイ!!」



―以上、回想終わり―



戦士「…………」

魔王「……苦労、したのだな……」

戦士「……ああ」

大魔王「う、羨ましい……!!」

戦&魔「「今の流れで!?」」
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