ラスボスはつらいよ
「セーラ姫、そういえば気になってたんだけど、脱走の途中でうちの部下に気づかれたんだよな?」
「ええ」
「そこからは泳がされてここまで来られたんだと思うけど、まず第一歩として見張りがいる牢を出なきゃならない訳で」
「そうですね」
「ま、まさか色仕掛け……にしては、姫はまだ子供だもんなあ」
「し、失礼ですよ! 確かに色仕掛けはしていませんけど」
「じゃあどうやって?」
「ええと……まず仮病を使ってですね」
「うんうん」
「覗き込んできた見張りを格子越しに絞め落として腰にあった鍵を頂戴しました」
「待って」
「そうですよね、驚きますよね……一国の姫ともあろう者がだましうちなんて。私も心苦しかったのですが、そうでもしないと牢を出られなかったので」
「そうじゃないそこじゃない」
「えっ?」
「絞め落としたの?」
「はい」
「見張りの子、それなりに屈強だったと思うけど」
「油断していたのでしょうね。悪いことをしてしまいました……」
「油断だけでそうはならない」
「脱出してからは何度か魔族の方と遭遇してしまいましたが、騒がれては困るので静かにしていただきました」
「ど、どうやって……」
「声をあげさせず一撃でって難しいですね」
「君もしかして暗殺者か何か?」
「あっ、でも内緒にしてくださいね。おてんば姫だなんて噂されたら恥ずかしいですから!」
「おてんばって言葉で片付くレベル!? あっ、でもワシを倒しに来たんだよね?」
「ええ、まあ」
「その割には軽装というか手ぶらというか……あ、もしかして魔法使いだったり」
「残念ながら私に魔法の素養はありませんでした」
「……じゃあ剣とか、せめてナイフとかは」
「そんな! かよわい乙女に重い剣など振り回せませんし、刃物もその……怖いです……!」
「これまでの武勇伝からいくら刃物を怖がってみせても今更だよねえ」
「怖いです……!」
「強調されてももう君の印象は己の拳ひとつで魔王城を蹂躙した武闘家だからね!?」
「武闘家なんてそんな! ジマリッハ王国の王族は古の勇者の血を引いているらしいとは聞きましたけど」
「いろいろ納得がいったしたぶんこないだ来た勇者より濃く受け継いでるよ君!」
「ええ」
「そこからは泳がされてここまで来られたんだと思うけど、まず第一歩として見張りがいる牢を出なきゃならない訳で」
「そうですね」
「ま、まさか色仕掛け……にしては、姫はまだ子供だもんなあ」
「し、失礼ですよ! 確かに色仕掛けはしていませんけど」
「じゃあどうやって?」
「ええと……まず仮病を使ってですね」
「うんうん」
「覗き込んできた見張りを格子越しに絞め落として腰にあった鍵を頂戴しました」
「待って」
「そうですよね、驚きますよね……一国の姫ともあろう者がだましうちなんて。私も心苦しかったのですが、そうでもしないと牢を出られなかったので」
「そうじゃないそこじゃない」
「えっ?」
「絞め落としたの?」
「はい」
「見張りの子、それなりに屈強だったと思うけど」
「油断していたのでしょうね。悪いことをしてしまいました……」
「油断だけでそうはならない」
「脱出してからは何度か魔族の方と遭遇してしまいましたが、騒がれては困るので静かにしていただきました」
「ど、どうやって……」
「声をあげさせず一撃でって難しいですね」
「君もしかして暗殺者か何か?」
「あっ、でも内緒にしてくださいね。おてんば姫だなんて噂されたら恥ずかしいですから!」
「おてんばって言葉で片付くレベル!? あっ、でもワシを倒しに来たんだよね?」
「ええ、まあ」
「その割には軽装というか手ぶらというか……あ、もしかして魔法使いだったり」
「残念ながら私に魔法の素養はありませんでした」
「……じゃあ剣とか、せめてナイフとかは」
「そんな! かよわい乙女に重い剣など振り回せませんし、刃物もその……怖いです……!」
「これまでの武勇伝からいくら刃物を怖がってみせても今更だよねえ」
「怖いです……!」
「強調されてももう君の印象は己の拳ひとつで魔王城を蹂躙した武闘家だからね!?」
「武闘家なんてそんな! ジマリッハ王国の王族は古の勇者の血を引いているらしいとは聞きましたけど」
「いろいろ納得がいったしたぶんこないだ来た勇者より濃く受け継いでるよ君!」