~封じられし過去~

 緑深き森の中。

「いくぞ、ファング!」
「……どこからでも」

 風に流れる黄金と暗灰色の髪。
 青年はトンファーを、男は太刀をそれぞれ構える。

「りゃあぁぁっ!」

 一瞬の後、均衡を破って仕掛けたのは青年の方。

「思い切りはいい……だが!」

 懐に飛び込んで突き上げる攻撃を繰り出すも、男には紙一重でかわされてしまう。

「へ?」
「青いな、小僧」
「ぐぁっ!?」

 お返しとばかりの一撃を食らい、青年は勢い良く吹っ飛ばされる。
 手加減は出来たのだろうかなどと思いながら、男は青年に歩み寄り、手を差し伸べた。

「おい、立てるか?」
「へっ……まだまだ!」

 力の差を見せつけられて尚も曇る事のない、太陽を思わせる金色の瞳に、ファングは穏やかに目を細める。

「フ、元気な奴だな」
「それだけが取り柄だからな」

 青年、ルーツは得意気に言うと立ち上がる。

「さぁ、続きをやろうぜ!」
「ああ……、……っ!?」

 その笑顔に応えようとした刹那、ぐらりと身体が傾ぐ。

「!? ファングっ!!」

 悲痛な叫びが、森にこだました。
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