~突入~
朝の静かな空気が、歴史ある王都を厳かに見せる。
まだ人影もまばらなそこで、出入り口に集まる見た目も年齢もバラバラな者達の姿が異彩を放っていた。
「よし、全員いるな。昨夜はよく眠れたか?」
「ばっちりさっぱりリフレーッシュじゃよ♪」
デューの問いに元気よく答えるミレニアには、昨日までの疲れは残っていないようだった。
しかし中にはこれでもかというほど上半身を脱力させ項垂れる青年もいたが……
「なんじゃ? リュナンは寝不足か?」
「違いますよー……昨夜、みんなでカードゲームしたんですけど」
「うむ、オチが読めた」
事情を全て話し終える前にばっさりと切り捨てるミレニアに、リュナンは上げかけた頭をさらに深く落とした。
「罰ゲームで俺の失恋やら恥ずかしい話やら根掘り葉掘り……途中から旦那や教官さんが同情してわざと負けてくれたりもしましたけど」
やはりというかなんというか、彼の順位はほぼ最下位ばかりだったのだろう。
ミレニアやイシェルナからすれば、その展開は予想通り過ぎた。
「ったく、甘いんだよ二人とも。勝負の世界は非情なんだよ」
「それではリュナンが楽しくないだろう? っと、話が逸れたな」
いつまでも昨夜の楽しさに浸っていたかったが、今この空に浮かぶモノを思えばそうも言っていられないのが現実だ。
オグマは話を引き戻すと、上空に図々しく陣取る“それ”を仰ぎ、睨んだ。
「……また、空を取り戻す時が来たな」
「前回は障気、今度は隕石……規模がデカ過ぎますよねえ」
個人でなんとかできるものとは思えませんよ、とリュナンが乾いた笑いをこぼす。
と、
「ま、なんとかできるようにするんだな。今回は強力な後ろ楯がついている」
「それを自分で言いますか、お祖父様」
この集団を異様なものに見せている原因のひとつ。
当然のように話に加わっている中央大陸の王モラセスと、王都の英雄で彼の孫でもあるトランシュがそう続けた。
「あれを見せられた世界の混乱もあるだろうが……こちらはこちらで進めておく。お前らは気にせず奴の懐に突っ込め」
「頼もしいじーさまじゃのう」
ミレニアの言葉に、当たり前だ、とモラセスが返す。
「天上でふんぞり返っている支配者気取りの馬鹿に、この世界に生きる者達の底力を見せつけてやれ!」
「はい!」
「あいあいさーなのじゃ!」
場の空気を一瞬にして引き締める力は、やはり王と呼ばれるだけのことはある。
まあ俺には一歩及ばないがな、などと精霊王は腕組みをしながらそれを眺めていた。
まだ人影もまばらなそこで、出入り口に集まる見た目も年齢もバラバラな者達の姿が異彩を放っていた。
「よし、全員いるな。昨夜はよく眠れたか?」
「ばっちりさっぱりリフレーッシュじゃよ♪」
デューの問いに元気よく答えるミレニアには、昨日までの疲れは残っていないようだった。
しかし中にはこれでもかというほど上半身を脱力させ項垂れる青年もいたが……
「なんじゃ? リュナンは寝不足か?」
「違いますよー……昨夜、みんなでカードゲームしたんですけど」
「うむ、オチが読めた」
事情を全て話し終える前にばっさりと切り捨てるミレニアに、リュナンは上げかけた頭をさらに深く落とした。
「罰ゲームで俺の失恋やら恥ずかしい話やら根掘り葉掘り……途中から旦那や教官さんが同情してわざと負けてくれたりもしましたけど」
やはりというかなんというか、彼の順位はほぼ最下位ばかりだったのだろう。
ミレニアやイシェルナからすれば、その展開は予想通り過ぎた。
「ったく、甘いんだよ二人とも。勝負の世界は非情なんだよ」
「それではリュナンが楽しくないだろう? っと、話が逸れたな」
いつまでも昨夜の楽しさに浸っていたかったが、今この空に浮かぶモノを思えばそうも言っていられないのが現実だ。
オグマは話を引き戻すと、上空に図々しく陣取る“それ”を仰ぎ、睨んだ。
「……また、空を取り戻す時が来たな」
「前回は障気、今度は隕石……規模がデカ過ぎますよねえ」
個人でなんとかできるものとは思えませんよ、とリュナンが乾いた笑いをこぼす。
と、
「ま、なんとかできるようにするんだな。今回は強力な後ろ楯がついている」
「それを自分で言いますか、お祖父様」
この集団を異様なものに見せている原因のひとつ。
当然のように話に加わっている中央大陸の王モラセスと、王都の英雄で彼の孫でもあるトランシュがそう続けた。
「あれを見せられた世界の混乱もあるだろうが……こちらはこちらで進めておく。お前らは気にせず奴の懐に突っ込め」
「頼もしいじーさまじゃのう」
ミレニアの言葉に、当たり前だ、とモラセスが返す。
「天上でふんぞり返っている支配者気取りの馬鹿に、この世界に生きる者達の底力を見せつけてやれ!」
「はい!」
「あいあいさーなのじゃ!」
場の空気を一瞬にして引き締める力は、やはり王と呼ばれるだけのことはある。
まあ俺には一歩及ばないがな、などと精霊王は腕組みをしながらそれを眺めていた。
