~白き茨の森~
洞窟に行っていたリュナン達が無事に霊晶石を持ち帰ると、万物の王はそれを使ってブラックカーラント号により強力な結界を張った。
彼の話によればこれでもう船に魔物が寄り付くことはないし、結界を張り続けるために船に居続けなければいけないということもなくなるようだ。
「とはいえ、護衛も残した方がいいんじゃないのか?」
「いざとなったら空も飛べるし、魔物だってヨーグルが踏み潰しちゃうもん。障気がへっちゃらになったならこっちはもう大丈夫だよ!」
ねっヨーグル、とキャティが呼び掛けると、返事はないが船を背負った巨大な亀が身じろぐ気配がした。
「それで、次はどこへ向かえばいいんだ?」
『ロゼットの結界によって奴がまだ封じられたままなら、かつて隕石が落ちた地点から動いていないはずだ』
ランシッドはそう言うと、周囲に視線を巡らせ、洞窟と、廃墟となったアラムンドの帝都を確認する。
『洞窟があっち、アラムンドがあそこにある、ということは……ここから南西にしばらく行けば、その場所に行き着く。当時のままなら地面が大きく抉れてるから、すぐわかるよ』
「了解ー! パータ兄ぃ、南西だってー!」
「よぉっしゃあぁぁぁ! いくぜぇぇぇぇぇ!」
パータの叫びと共に旋回する船内からはどよめきと、船酔いに加えて高所に怯えていた約一名から悲鳴があがる。
なにはともあれこれでようやく“総てに餓えし者”との決着をつけられる。
誰もがそう思ったのだが……
「……抉れた地面なんて見当たらんのう」
『む、おかしいな。この辺りのはずなのだが……』
なかなか見えてこない目的地に一同が下を覗き込む。
すると……
「お、おい……なんだよこれ」
眼下の光景に、デューが息を呑んだ。
確かに、ミレニアの言葉通り辺りに隕石が落ちて緑が削れた大地は見付からず、かわりにあったのは、ここに来る途中でもいくらか生えているのを確認した、障気の結晶にしてこれを生み出す“牙”。
その牙が、目的地を覆うように……まるで森のように、密集していたのだった。
彼の話によればこれでもう船に魔物が寄り付くことはないし、結界を張り続けるために船に居続けなければいけないということもなくなるようだ。
「とはいえ、護衛も残した方がいいんじゃないのか?」
「いざとなったら空も飛べるし、魔物だってヨーグルが踏み潰しちゃうもん。障気がへっちゃらになったならこっちはもう大丈夫だよ!」
ねっヨーグル、とキャティが呼び掛けると、返事はないが船を背負った巨大な亀が身じろぐ気配がした。
「それで、次はどこへ向かえばいいんだ?」
『ロゼットの結界によって奴がまだ封じられたままなら、かつて隕石が落ちた地点から動いていないはずだ』
ランシッドはそう言うと、周囲に視線を巡らせ、洞窟と、廃墟となったアラムンドの帝都を確認する。
『洞窟があっち、アラムンドがあそこにある、ということは……ここから南西にしばらく行けば、その場所に行き着く。当時のままなら地面が大きく抉れてるから、すぐわかるよ』
「了解ー! パータ兄ぃ、南西だってー!」
「よぉっしゃあぁぁぁ! いくぜぇぇぇぇぇ!」
パータの叫びと共に旋回する船内からはどよめきと、船酔いに加えて高所に怯えていた約一名から悲鳴があがる。
なにはともあれこれでようやく“総てに餓えし者”との決着をつけられる。
誰もがそう思ったのだが……
「……抉れた地面なんて見当たらんのう」
『む、おかしいな。この辺りのはずなのだが……』
なかなか見えてこない目的地に一同が下を覗き込む。
すると……
「お、おい……なんだよこれ」
眼下の光景に、デューが息を呑んだ。
確かに、ミレニアの言葉通り辺りに隕石が落ちて緑が削れた大地は見付からず、かわりにあったのは、ここに来る途中でもいくらか生えているのを確認した、障気の結晶にしてこれを生み出す“牙”。
その牙が、目的地を覆うように……まるで森のように、密集していたのだった。
