~まもりたいもの、まもるべきもの~
フローレット誘拐の報せを受けたデュー達はザッハが残したという言葉から辿り着いたシブースト村とアセンブルの中間にある洞窟の隠し通路の先で、ラクレムとエクレアと遭遇した。
成り行きで戦う流れになってしまったところでエクレアが魔物に取り憑かれて見境なく暴れ、苦戦しながらもどうにか浄化したその時、奥から現れたのは、まさに探していたフローレットその人であった。
「フローレット、無事だったのか!」
怪我はないかと尋ねるデューに、薄暗い洞窟などとはおよそ無縁そうな令嬢は静かに頷く。
「よかったのじゃ……」
「エクレアちゃん達はフローレットを守るように言われてたんだから、危害なんて加えるワケないってのー!」
不満いっぱいに抗議するエクレアとラクレムの話では、彼等はアセンブルで出会ったモヤシ男……もとい、ザッハに彼女を洞窟に隠して守っていて欲しいと言われただけで、悪党に狙われていると思って誰も近付かないよう見張っていたようだ。
「そんな話を聞いて、怪しいとは思わなかったのか?」
「余計なセンヤクは男らしくないからな!」
それを言うなら詮索だし、どうせ詮索してもわからなかったでしょとリュナンが小さくツッコミを入れる。
「あなた達、体よく騙されて利用されたみたいね」
「わたくしも何度かそう言おうとしたのに、二人とも聞く耳をもたなくて……」
確かにこの二人の勢いなら、フローレットが話そうとしたのを遮ってしまいそうだ。
大丈夫だ、俺様が来たからには悪党など近付けさせんと得意気なラクレムの顔が容易に想像できる。
「悪気はないんだろうけど、困った子達ねぇ」
「お陰で余計な手間をとらされたぜ、ったく」
イシェルナとデューが顔を見合わせて苦笑いをした。
「そろそろいいかしら」とフローレットも困ったように眉尻を下げる。
「そういえば姉様、兄様はここにはいないのかの?」
と、ミレニアが何気なく口にした言葉で、いつもはにこやかな未来の姉の表情が陰りを見せる。
「フローレット姉様……?」
「ごめんなさい、ミレニア……わたくしが連れ去られなんてしなければ……」
沈痛な面持ちで胸元に置いた手を握り締めた令嬢は、震える唇をゆっくりと動かした。
成り行きで戦う流れになってしまったところでエクレアが魔物に取り憑かれて見境なく暴れ、苦戦しながらもどうにか浄化したその時、奥から現れたのは、まさに探していたフローレットその人であった。
「フローレット、無事だったのか!」
怪我はないかと尋ねるデューに、薄暗い洞窟などとはおよそ無縁そうな令嬢は静かに頷く。
「よかったのじゃ……」
「エクレアちゃん達はフローレットを守るように言われてたんだから、危害なんて加えるワケないってのー!」
不満いっぱいに抗議するエクレアとラクレムの話では、彼等はアセンブルで出会ったモヤシ男……もとい、ザッハに彼女を洞窟に隠して守っていて欲しいと言われただけで、悪党に狙われていると思って誰も近付かないよう見張っていたようだ。
「そんな話を聞いて、怪しいとは思わなかったのか?」
「余計なセンヤクは男らしくないからな!」
それを言うなら詮索だし、どうせ詮索してもわからなかったでしょとリュナンが小さくツッコミを入れる。
「あなた達、体よく騙されて利用されたみたいね」
「わたくしも何度かそう言おうとしたのに、二人とも聞く耳をもたなくて……」
確かにこの二人の勢いなら、フローレットが話そうとしたのを遮ってしまいそうだ。
大丈夫だ、俺様が来たからには悪党など近付けさせんと得意気なラクレムの顔が容易に想像できる。
「悪気はないんだろうけど、困った子達ねぇ」
「お陰で余計な手間をとらされたぜ、ったく」
イシェルナとデューが顔を見合わせて苦笑いをした。
「そろそろいいかしら」とフローレットも困ったように眉尻を下げる。
「そういえば姉様、兄様はここにはいないのかの?」
と、ミレニアが何気なく口にした言葉で、いつもはにこやかな未来の姉の表情が陰りを見せる。
「フローレット姉様……?」
「ごめんなさい、ミレニア……わたくしが連れ去られなんてしなければ……」
沈痛な面持ちで胸元に置いた手を握り締めた令嬢は、震える唇をゆっくりと動かした。