~導く光~
パスティヤージュにある、神子姫が特別な啓示を受けるための神聖な場所“月白の祭壇”。
レファイナの言葉によりラングド山へ向かい、風の大精霊の浄化と契約を済ませてきたデュー達が戻ってきた時には、祭壇が開かれる満月の夜が目前となっていた。
「そういえばフィノはその月白の祭壇とやらに行ったことはないのか?」
大きな耳をパタパタ動かしながら、シュクルが駆け出し神子姫の少女を見上げる。
「満月の夜に月白の祭壇に入れるのは、今はおかあさんだけなんです」
だからちょっと楽しみ、と微笑むフィノは年相応の少女の顔をしていた。
「それにしても夜のパスティヤージュはなんていうか、雰囲気ありますよねぇ……」
「古くからの建造物をなるべく崩さず利用しているんだそうだ。積み重なった時が、この里の風情を作り出しているんだろうな」
そこここに佇む古びた石柱や、砂に埋もれた石畳がその名残だろうか。
遺跡が町になったようなパスティヤージュは、ふわふわと蛍のような光を漂わせて……
「って、なんだこれ?」
「綺麗……でもこれって可視化したマナじゃないの?」
てのひらに受けると儚く融けて見えなくなる光を見つめ、イシェルナが首を傾げる。
「だとしたら、大精霊がいる可能性が出てくるな」
「パスティヤージュではこの光は満月の夜にだけ見えるんですけど、そういえばそうですね……」
身近過ぎて想像もしなかったのだろうか、フィノはきょとんと目を瞬かせていた。
「月の光が満ちる時、祭壇には光のマナが集まるのよ。そしてそこには、大精霊もいるわ」
「えっ?」
神秘的な気配の美しい女性……フィノの母にしてこの里で一番の神子姫、レファイナが長い髪を夜風に波打たせながら現れる。
「まずはラングド山の調査に行ってくれてありがとう、お疲れ様。その様子だといいこともあったみたいね」
「お陰様で、な」
未来を視る力をもつ神子姫がどこまで知っているのかはわからないが、多少なりとも意図があってラングド山へ向かわせたのだろう。
「じゃあ、月白の祭壇へ案内するわね。ついてきてちょうだい」
そう言うとレファイナは踵を返し、デュー達を導くべく歩き出す。
その時リュナンはあからさまに、デューはさりげなく際どい衣装に包まれたレファイナの魅惑的な後ろ姿を視線で追っていたが、
「まったく、鼻の下のばしちゃって……確かにレファイナさん、ものすごいナイスバディだけどねぇ」
「しかし相手はフィノの母親だというのに、こんな時に呆れた奴等ぞ」
もはや仲間達にはバレバレなのであった。
「美人は目で追っちまうんだ、仕方ないだろ」
「追ってたのは顔じゃなかったくせにー」
「あらあら、うふふ♪」
などと、どうにも緊張感に欠ける会話を交わしながら、彼等は世界を救うため、大精霊を求めて月白の祭壇を目指した。
レファイナの言葉によりラングド山へ向かい、風の大精霊の浄化と契約を済ませてきたデュー達が戻ってきた時には、祭壇が開かれる満月の夜が目前となっていた。
「そういえばフィノはその月白の祭壇とやらに行ったことはないのか?」
大きな耳をパタパタ動かしながら、シュクルが駆け出し神子姫の少女を見上げる。
「満月の夜に月白の祭壇に入れるのは、今はおかあさんだけなんです」
だからちょっと楽しみ、と微笑むフィノは年相応の少女の顔をしていた。
「それにしても夜のパスティヤージュはなんていうか、雰囲気ありますよねぇ……」
「古くからの建造物をなるべく崩さず利用しているんだそうだ。積み重なった時が、この里の風情を作り出しているんだろうな」
そこここに佇む古びた石柱や、砂に埋もれた石畳がその名残だろうか。
遺跡が町になったようなパスティヤージュは、ふわふわと蛍のような光を漂わせて……
「って、なんだこれ?」
「綺麗……でもこれって可視化したマナじゃないの?」
てのひらに受けると儚く融けて見えなくなる光を見つめ、イシェルナが首を傾げる。
「だとしたら、大精霊がいる可能性が出てくるな」
「パスティヤージュではこの光は満月の夜にだけ見えるんですけど、そういえばそうですね……」
身近過ぎて想像もしなかったのだろうか、フィノはきょとんと目を瞬かせていた。
「月の光が満ちる時、祭壇には光のマナが集まるのよ。そしてそこには、大精霊もいるわ」
「えっ?」
神秘的な気配の美しい女性……フィノの母にしてこの里で一番の神子姫、レファイナが長い髪を夜風に波打たせながら現れる。
「まずはラングド山の調査に行ってくれてありがとう、お疲れ様。その様子だといいこともあったみたいね」
「お陰様で、な」
未来を視る力をもつ神子姫がどこまで知っているのかはわからないが、多少なりとも意図があってラングド山へ向かわせたのだろう。
「じゃあ、月白の祭壇へ案内するわね。ついてきてちょうだい」
そう言うとレファイナは踵を返し、デュー達を導くべく歩き出す。
その時リュナンはあからさまに、デューはさりげなく際どい衣装に包まれたレファイナの魅惑的な後ろ姿を視線で追っていたが、
「まったく、鼻の下のばしちゃって……確かにレファイナさん、ものすごいナイスバディだけどねぇ」
「しかし相手はフィノの母親だというのに、こんな時に呆れた奴等ぞ」
もはや仲間達にはバレバレなのであった。
「美人は目で追っちまうんだ、仕方ないだろ」
「追ってたのは顔じゃなかったくせにー」
「あらあら、うふふ♪」
などと、どうにも緊張感に欠ける会話を交わしながら、彼等は世界を救うため、大精霊を求めて月白の祭壇を目指した。