EX~にどめの飲み会~

 乾杯、の声とグラス同士がぶつかる不揃いな音。

 ここは、とある酒場の一室。

「二度目の飲み会いぇーい☆」

 と、早速とんでもないペースで呑み始める底無しは、天才蟒蛇魔法技師のクレインだ。
 コイツの体のどこにこの大量の酒が消えていくのだろうか、とファングはぼんやり考えながらグラスを傾けた。

「けど、いいんですか?……俺達まで参加させて貰っちゃって」

 と、若干居場所なさげに視線を彷徨わせながらシゲンが尋ねる。

「番外編だから♪」

 クレインが上機嫌で答えた。

「っていきなりのメタ発言!?」
「そもそも、そうじゃなきゃまずこんな飲み会ファングが許してくれないもん。思いっきり呑むとか、ねぇ?」

 言いながらもグラス……ではなく瓶ごとに持ち替えたクレインの酒の減りは早い。

「お前は際限ないからダメだ」
「どうせ僕のお金なんだから、君が心配する事じゃないじゃないか」

 クレインやロキシーは何気に金持ちだったりする。
 とくに使い道がないから余計に貯まる訳なのだが……

「そういう問題じゃない。飲み過ぎは毒だから言ってるんだ」

 ぴしゃり、と言い放たれてクレインは目をそらした。

「…………番外編ならいいんですか」
「本編でクセをつけられたら困るが、多少はガス抜きさせないとな」
「は、はぁ……」

 シゲンは苦笑しながら二人の話を聞いていた。
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