EX~幻想界の住人達~

「なぁなぁ、ファング達の世界のこともっと教えてくれよ!」

 そう言い出したのは、よくやって来る金髪の青年だった。

「聞いたって何も面白い事はないぞ?」
「そう思っているのはファングだけだって♪」

 珍しくクレインがルーツの意見に同意する。

「昔は人見知りで無口な子だったんでしょ、ファングって?……その昔の話ってだけで興味津々だよ☆」
「そ、そんな事言われてもなぁ……」

 ファングはチラリとガナシュに助けを求める。

『いいんじゃねーの? たまには昔を思い出すのも。折角三人揃ったんだしさ』

 そう言ったのはガナシュが手にしている魔石……『フェニックス』のアスカ。

「フェニックス……そうだな、話してやれフェンリル」
「…………わかったよ」

 仕方ないな、とファングは苦笑する。

「話すの嫌なの?」
「……苦手なんだよ。俺あんまり話得意じゃないから……うまく話せない」
「そうかなぁ?」

 最近は割とうまく話せてると思うけど、なんてクレインは首を捻る。

『大丈夫だよ、俺もガナも話に参加するから!』
「……ふん、一応はな」

 実体化はしていないが魔獣であるファングやガナシュには楽しそうなアスカがぼんやりとだが見えていた。

 それはクレイン達にもなんとなく感じ取れているだろう。

「それじゃ幻想界の昔話、いってみよー☆」
「お前が仕切るなよ」

 という訳で、魔獣達の昔語りが始まった。
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