EX~たまにはちょっぴりスパイスを~
――遠い昔……
人間達が生きる世界とは別に存在する、もうひとつの世界。
まだ名前もないそこは、魔獣達が穏やかに暮らす平和な場所。
時の流れは静かに、ゆっくりと……―――
「何か面白いことないかしら?」
発端は魔狼『マーナガルム』……ファングの母、ハティのそんな一言だった。
それに同意したのは彼女の友人にしてガナシュの母、火精『ジーニー』のフリア。
「そうさねぇ、日常にちょっとしたスパイスを加えるのも円満のコツ……かな」
「でしょう?……でもスパイスって何がいいかしら……」
「刺激……うーん、普段と違う姿とか」
普段と違う姿。
その言葉に退屈な主婦二人が顔を見合わせる。
「……いい事思い付いちゃったかも☆」
「ハティ、悪事企んでるようにしか見えないよ?」
「うふふ、そうかしら?」
白銀の髪にアイスブルーの瞳が美しい魔狼は、にこやかに微笑んだ。
それは知らない人から見れば天使か女神の笑みに思えるかもしれないが……
(おーおー、いい表情しちゃって……)
彼女をよく知る火精には、むしろ悪魔かお代官様のように見えたという。
人間達が生きる世界とは別に存在する、もうひとつの世界。
まだ名前もないそこは、魔獣達が穏やかに暮らす平和な場所。
時の流れは静かに、ゆっくりと……―――
「何か面白いことないかしら?」
発端は魔狼『マーナガルム』……ファングの母、ハティのそんな一言だった。
それに同意したのは彼女の友人にしてガナシュの母、火精『ジーニー』のフリア。
「そうさねぇ、日常にちょっとしたスパイスを加えるのも円満のコツ……かな」
「でしょう?……でもスパイスって何がいいかしら……」
「刺激……うーん、普段と違う姿とか」
普段と違う姿。
その言葉に退屈な主婦二人が顔を見合わせる。
「……いい事思い付いちゃったかも☆」
「ハティ、悪事企んでるようにしか見えないよ?」
「うふふ、そうかしら?」
白銀の髪にアイスブルーの瞳が美しい魔狼は、にこやかに微笑んだ。
それは知らない人から見れば天使か女神の笑みに思えるかもしれないが……
(おーおー、いい表情しちゃって……)
彼女をよく知る火精には、むしろ悪魔かお代官様のように見えたという。