異形と羽根

まもなく真昼にさしかからんとする、樹海の中。
ガラディエは、動かなくなった魔物と、魔物を絶命させた矢を見つめていた。矢には、かつて彼の一部であった羽根が取り付けられていた。ガラディエの羽根を付けた矢は、ハウンドの少年の武器となり、容赦も躊躇もなく、魔物の命を絶ったのだった。

ガラディエは、何かが満たされるような小気味良さを感じていた。自分の一部だった羽根が、仲間の得物と化したこと。ただ捨てるだけだった自分の羽根が、こうして武器の一部になるなど。
異形の象徴である羽が。

──悪くはない。

異形である自分の力が肯定されたような、認められたような気分になり、ガラディエの胸の内には、じわりと熱い何かが広がっていた。
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