26日目:たとえばの話をしようか(春海)
とある喫茶店、春と海は向き合って紅茶を楽しんでいた。偶然にもオフが重なったため、春が海を誘い、海がそれに乗ったのである。
互いのメンバーの話や、海のロケの話を取り留めも無く話していたが、ふと春が真剣な表情で海を見た。
「あのさ、たとえばなんだけど」
「ん?」
「もし、海が男に告白されたら……どうする?」
突拍子も無い話に海は考え込む。
こういうもしも話の時、大抵は本人の悩みそのものだったりする。春は誰かに告白されたりしたのだろうか。海はそんな風に考え、しかしそのことは口に出さずに自分なりの答えを返した。
「う~ん、断るかな。一人だけ、告白されたら嬉しいなって思うやつはいるけど」
「そうなの?」
春の問いかけに海は頷いた。
春は海から一瞬視線をそらし、再度海を見つめる。
「それって好きな人ってこと?」
「うん」
「どんな人?」
身を乗り出す勢いで尋ねてくる春に、海は苦笑いをする。そして静かに語り始めた。
「そうだな……穏やかで、優しくて、時々子供っぽくて、熱中するとはまりこんじゃう時は心配することもあるけど、まぁそれは俺が気にかけてればいいかな。あと、いたずらしすぎて自分もひどい目に遭ってるときは面白い。あとは……天然タラシを発揮するのはほどほどにしてほしいな」
海はとても幸せそうな表情で春を見た。
海がいくつもあげた特徴に春は身に覚えがあった。特に最後のは春にとってよく言われる言葉の一つだ。
ドキッと春の心臓が音を鳴らす。
「で? 俺だけ言うなんてフェアじゃないから、春も言ってくれよ」
海の目は変わらず優しくて、愛おしいという想いが透けて見える。これで勘違いするなと言う方が無理な話だ。
唾を飲み込み、春は小さく息を吸う。
「俺が好きなのは、海だよ」
春が海に微笑みかけると、海も微笑み返した。
「やっと言ってくれたな」
「待ってたんだ?」
「まぁな。いつか言ってくれるかな~と思って」
紅茶を飲みながらそう言う海の姿は、どことなく彼の相方の姿を彷彿とさせた。春より一つ年上の海は、こんな時あまり慌てたりしない。
春もくすりと笑ってティーカップへと手を伸ばす。残り少ない紅茶が全て口の中へと流れ込んでいく。爽やかな香りは鼻に抜けて喉を通り過ぎていった。
「ほんと、海には敵わないよ」
春の言葉に海は楽しげに笑う。告白現場とは思えないぐらい、いい意味で緊張感の無い雰囲気が春には心地よかった。
「あ、答え聞いてないんだけど」
「あぁ、そうだったな。……俺も春が好きです」
「じゃあ、今この瞬間から俺たちは恋人だね」
「だな。なんかあまり特別感は無いけど」
「ふふっ、俺たちらしいよね」
二人して笑い合って、空になったティーカップを除けてメニュー表を見る。
次に頼む紅茶と、ついでに頼むケーキを選び始めた二人の様子は、どことなく先程よりも甘いものになっていた。
互いのメンバーの話や、海のロケの話を取り留めも無く話していたが、ふと春が真剣な表情で海を見た。
「あのさ、たとえばなんだけど」
「ん?」
「もし、海が男に告白されたら……どうする?」
突拍子も無い話に海は考え込む。
こういうもしも話の時、大抵は本人の悩みそのものだったりする。春は誰かに告白されたりしたのだろうか。海はそんな風に考え、しかしそのことは口に出さずに自分なりの答えを返した。
「う~ん、断るかな。一人だけ、告白されたら嬉しいなって思うやつはいるけど」
「そうなの?」
春の問いかけに海は頷いた。
春は海から一瞬視線をそらし、再度海を見つめる。
「それって好きな人ってこと?」
「うん」
「どんな人?」
身を乗り出す勢いで尋ねてくる春に、海は苦笑いをする。そして静かに語り始めた。
「そうだな……穏やかで、優しくて、時々子供っぽくて、熱中するとはまりこんじゃう時は心配することもあるけど、まぁそれは俺が気にかけてればいいかな。あと、いたずらしすぎて自分もひどい目に遭ってるときは面白い。あとは……天然タラシを発揮するのはほどほどにしてほしいな」
海はとても幸せそうな表情で春を見た。
海がいくつもあげた特徴に春は身に覚えがあった。特に最後のは春にとってよく言われる言葉の一つだ。
ドキッと春の心臓が音を鳴らす。
「で? 俺だけ言うなんてフェアじゃないから、春も言ってくれよ」
海の目は変わらず優しくて、愛おしいという想いが透けて見える。これで勘違いするなと言う方が無理な話だ。
唾を飲み込み、春は小さく息を吸う。
「俺が好きなのは、海だよ」
春が海に微笑みかけると、海も微笑み返した。
「やっと言ってくれたな」
「待ってたんだ?」
「まぁな。いつか言ってくれるかな~と思って」
紅茶を飲みながらそう言う海の姿は、どことなく彼の相方の姿を彷彿とさせた。春より一つ年上の海は、こんな時あまり慌てたりしない。
春もくすりと笑ってティーカップへと手を伸ばす。残り少ない紅茶が全て口の中へと流れ込んでいく。爽やかな香りは鼻に抜けて喉を通り過ぎていった。
「ほんと、海には敵わないよ」
春の言葉に海は楽しげに笑う。告白現場とは思えないぐらい、いい意味で緊張感の無い雰囲気が春には心地よかった。
「あ、答え聞いてないんだけど」
「あぁ、そうだったな。……俺も春が好きです」
「じゃあ、今この瞬間から俺たちは恋人だね」
「だな。なんかあまり特別感は無いけど」
「ふふっ、俺たちらしいよね」
二人して笑い合って、空になったティーカップを除けてメニュー表を見る。
次に頼む紅茶と、ついでに頼むケーキを選び始めた二人の様子は、どことなく先程よりも甘いものになっていた。