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堀「なーんで俺達が買い出し係なんだ?」
『堀尾くん、あと少しだよっ頑張ろ?』
ガサガサとジュースの入った袋を抱えて歩いているのは、当時一年トリオだった堀尾、カチロー、カツオとりんだ。
カツオ「そうだよ堀尾くん。主役のりんちゃんが一緒に来てくれたんだよ?」
カチロー「あれ?何でりんちゃんも来たんだっけ?」
今やリョーマ同様、身長の伸びた3人だが……カチローは少しだけ髪も長くなりオシャレになっていた。
少しだけの変化で終わらないのがカツオで、当時坊主だった彼はふさふさの金髪にイメチェンをしていた。
そんな友達の変化に特に驚かないのがマネージャーのりんで、にこにこと微笑むだけである。
『えっとね、3人にちゃんと伝えたくて、』
堀「?」
もじもじと顔を赤らめる美少女のりんに、特に何も期待しないのがこの3人トリオだった。
『私と友達になってくれて、いつも助けてくれてありがとう』
『すごく心強かったっ』と満面の笑みを向ければ、彼等は丸くしていた目をじぃん…と潤ませた。
堀「っな…んだよ急に。んなの友達なんだから当たり前じゃねーかっ」
カチロー「そうだよ。それに、僕達の方こそいつもりんちゃんに助けられてたよ?」
カツオ「こちらこそありがとうだね」
見た目はイカつくなっても中身は変わらぬ3人の優しい言葉に、今度はりんが感動する番だった。
それは"かわむらすし"に着いても続き、「もーりんちゃん今言わないでよ〜!」とカチローが遂に音を上げた。
カチロー「離れ難くなっちゃうでしょ!///」
顔を真っ赤に染めるカチローを見守っていた不二は、「りんちゃんって本当に罪作りな子だよね…」とふっと何処か遠い目をしていた。
不「ね?手塚」
手「………何故俺に言う」
ぐいっと手元の熱いお茶を飲んだ手塚は舌を火傷し、少し…かなり動揺しているみたいだ。
『手塚部長、ドイツのお話聞きたいですっ』
手「構わないが……何故まだ"部長"なんだ?」
『?部長はずっと部長だからですよ』
"それ以外に何とお呼びすれば?"と言いた気に大きな目をキラキラさせるりんに、「いや…それで構わない」と手塚もふっと微笑んだ。
いつしかボードゲーム大会が開催され、いつ会っても変わらぬ温かな光景に手塚は嬉しさを噛み締めていた。
不「りんちゃんは、アメリカに行くこと僕ら(青学)以外に報告したの?」
『えっ』
ゲーム大会から抜けてきたりんは、カウンターでわさび寿司を食べている不二の隣に座った。
突然そんな質問をされたので、巻物を食べようとしていた手がピタリと止まる。
ふるふると、ただ静かに首を横に振るりん。
『………向こう(アメリカ)に着いてから連絡しようかなって。きっと離れ難くなっちゃうので』
それでも青学の皆には直接伝えてくれたりんに、不二の口元は自然と緩んでいた。
不「……皆泣いちゃいそうだね(裕太も)」
『ふえ!?泣く…?』
りんに片想いしている者は勿論、彼女の愛されっぷりから悲しむ者達で溢れるに違いない。
不二はそんな切ない光景を想像しながら、ある人物を頭に浮かべていた。
不「白石にも伝えないの?」
『……………っ』
途端に泣きそうな顔をするりんを見て、不二のある予感は的中していた。
ぎゅっと膝の上に置いた掌を握り締める小さな姿に、「りんちゃん」と優しく声を掛ける。
不「もし越前と喧嘩して日本に帰りたくなったら、いつでも帰っておいで。僕達はずっと待ってるから」
柔らかく微笑む不二を見上げて、『は、はい…っ』と涙が溢れてしまうりん。
そのまま「よしよし」と頭を撫でられていると、「あー!不二がりん泣かしてる!?」と菊丸を先頭に青学メンバーが乱入した。
リョ「………不二先輩、心配いらないんで」
不「ふふ、流石お兄ちゃんだね」
自分の頭も撫でようとしてくる不二から、リョーマはムスッとしながら距離を取った。
この後、全員で写真を撮り………また絶対集まろうと笑顔で約束したのだった。
***
白「え………………?」
3月上旬。
冬の厳しい寒さを乗り越え、春の暖かさを感じてきた頃……白石は家で洗っていたお皿を落とした。
ガシャン!と鳴った大きな音に驚き、友香里は「くーちゃん大丈夫?」と声を掛けた。
白「うん、大丈夫」
友「え。ほんまに大丈夫?」
暫く放心していた白石は、突然冷静になって破片を拾い出す。
そのまま静かに階段を上っていった…かと思えば全力疾走で下りて来た兄に、友香里は「くーちゃん何処へ!?」とツッコまずにはいられなかった。
白「ちょお東京行ってくるわ…!!」
友「今から!?」
慌てて玄関の外へ飛び出した白石は、「白石!?」「蔵!?」と目を丸くした幼馴染み達と遭遇した。
謙「侑士から今聞いたんやけど、りんちゃん今日アメリカ行くって「うん、俺も不二くんから聞いた」
白石は謙也と紅葉の顔を見て冷静を取り戻し、「せやから会ってくる」と真っ直ぐな瞳で言い切った。
謙「い、今から東京行くんかっ?」
白「新幹線なら早いから、会えるかもしれへんやろ?」
謙「せやかて……(今から行って間に合うか?)」
謙也は迷いのない白石の表情を見て、思わず言葉を飲み込んだ。
黙って2人の会話を聞いていた紅葉は、「ごめん」と唐突に頭を下げる。
紅「………1月にりんちゃん大阪に来ててな、会ったんや」
謙「え!?りんちゃん白石に会いに来たん?」
白「………………」
紅葉は、余計なことを言って傷付けてしまったことを話した。
「…紅葉は悪くない」と白石は眉を下げながら、ショートカットの頭をぽんぽんと撫でる。
白「じゃ、行ってくるな」
颯爽と去って行く白石の背中を、2人は呆然と見送った。
謙「………ほんまかっこええな、あいつは」
紅「ほんまやな」
りんに恋している時が、1番強く輝いている。
そんな白石の姿が見えなくなるまで、2人は"頑張れー!"と心の中でエールを送り続けた。
