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※本編の『birthdayデート』後の話です。
小「蔵リ~ン」
白「小春、」
午前の授業終了を告げるチャイムが鳴ると、同時にクラスのドアが開かれた。
高校では理系、文系、と別れているので、同じ理系の小春は隣のクラスで割と近かった。
小「今日ね、ユウくんと屋上でお昼食べる約束してるのよぉ。蔵リンも一緒にどお?」
白「俺も?」
白石は机の上の教材を仕舞いつつ、んーと考える。
ユウジはきっと、小春と2人きりがいいに違いない。
けれども自分を誘うということは、小春としてはその状況に低抗があるのかもしれない…(今更だが)
白「…うん、ええよ」
小「ほんま?ほな、ユウくん待っとるから早よ行こ!」
小春に腕を絡められ、白石は鞄を持ちついていった。
「見て!白石くんが連れてかれちゃう!!」
「私達の昼の楽しみが…」
それを見かねた、白石を昼休みに観察することを1日の娯楽としていた女子達が、一斉に肩を落とした。
小「ユウくん、あ~ん」
ユ「!!(こ、小春の卵焼き…)あーん…」
小「やっぱり私食べたいわぁ」
ユ「そんな…!」
モグモグと卵焼きを口に運ぶ小春に、壮大にショックを受けているユウジ。
2人の正面で、白石はその光景を見て苦笑していた。
ユ「そや、謙也は?」
今思い出したように、ユウジは首を捻る。
自分の親友はそんなに影が薄いのかと、少しばかり可哀相になった。
白「あいつ放送委員やから」
ユ「あー何ややっとったな」
小「じゃ、終わったら来て貰いましょーよ」
小春の言葉に白石も「そやな」と頷いた。
制服のポケットから携帯を取り出して、メールを打ち始める。
と、前から視線を感じたので顔を上げれば…ユウジと小春がじっと携帯を見ていた。
白「?何?」
小「蔵リン…随分可愛いストラップやね」
自分の手元に視線を戻し、ああと気付いた。
白石の携帯に付いているのは、シルバーの猫のストラップ。
大人っぽいデザインだが、男が付けるには少し勇気がいる。
ユ「女子からのプレゼントか?」
白「ちゃう、りんちゃんから貰ってん」
小「誕生日プレゼント?可愛いわね~!」
キャーと女子のように盛り上がる小春。
白「お揃いなんやって…」
白石は目を細め、愛おしそうにそのストラップを手に取った。
ユ「…ほ~えらいかわええことするな」
白「そうなんや!もうほんま可愛くて!」
ぽつりと呟いたユウジの言葉に、白石は過剰反応した。
その瞳は、待ってましたと言わんばかりの輝きを放っていて。
白「俺の為に悩んでくれたみたいでなぁ、それが一番嬉しいねん」
ユ「そ、そうか…」
白「渡す時も恥ずかしそうにしてな。俺がありがとう言うたら、嬉しそうに笑ってん」
小「へ、へぇ…」
白「もうなんや可愛すぎて、抱き締めてもーた」
ユ&小「「抱き締めたんか!!?」」
淡々と話して聞かせる白石に、思わず声を上げてしまった。
その後も、彼の惚気話は続き……
謙「おーお待たせ!…ってどうしたん!?」
小「謙也くん…」
ユ「もうどうにかしてや…あいつ」
ゲッソリとした顔で、飛び付いてきた2人。
謙也は首を傾げながら前を見ると、
白「お、謙也ー」
キラキラの眩しい笑顔を張り付けた、白石の姿があった。
もう、絶対に白石の前でりんの話はしないと、心に誓うのだった。
***
白石の惚気話に慣れてない小春とユウジ。
謙也は毎度のように聞かされてるので、特に何とも思ってなかったり…。
「そーかそーか」と、呆れながらもちゃんと聞いてくれそう^^;
彼女にデレデレな白石を書くのは楽しいです。
読んで頂きありがとうございました!
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