異界都市日記21
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おつかいを済ませてヤリ部屋に直行したザップを見つけるのは簡単だったが、そこから引っ張り出すのには若干以上時間がかかった。結理の顔見知りでもある愛人達の手も借りてザップを叩きだし…もとい連れ出した頃には、外はすっかり日が沈んでしまっていた。
「いーや!!聞きませんよ!やっぱり謝るべきっす」
ランブレッタの座席後部に乗っているレオが、ぶちぶちと文句をこぼすザップにきっぱりと言い放っていた。
「人にはそれぞれ事情ってもんがあるんですから。てゆうかそもそも主な収入源が女の人から貰う小遣いの人に労働の話されたくないです」
「全く以ってその通りですよ!あ、そこ右曲がってください」
「さーんせーい」
レオの主張に、ザップの膝の上に乗る形になって方向を指し示す結理と、しれっとレオの頭の上に乗っているチェインも全面的に同意する。
一台のスクーターに四人が乗っているという真っ先に呼び止められそうな光景だが、幸いと言うべきか止められることもなく、ランブレッタは夜のヘルサレムズ・ロットをツェッドを探しに走り抜けていた。
「あのすいませんチェインさんも!!降りて下さい!!具体的にジャマです!!」
「いいじゃん。重さなんてそう感じないでしょ?」
「ええそうっすね。スタバのトールよりむしろ軽いんじゃないですかね…ってオイ…っ!!頭の上に女の人乗せて三ケツじゃなんも集中できねえんすよおお…!!」
「ついでにお前も降りろよまな板。何でガキ二匹と雌犬とで相乗りしなきゃなんねえんだ!」
「しょーがないでしょベスパ修理中なんだから!だいたいわたしいなかったらツェッド君の居場所分かんないしアンタ絶対バックれるでしょーが!」
「うーん」
「ツェッド君出ない?」
「ダメだね…」
「よーしじゃあ明日から超頑張るという事にして今日はもう飲みに行こうや!!」
「それもダメっすね…!!」
「カジュアルな討ち入り的なものとして!!」
「ダーメっすね!!」
「もうちょっとで見つかりますから黙って走らしてくださいSS先輩……ほらあそこ……っ?」
早々に切り上げようとするザップに言いながら捉えた気配の方向を指さした結理は、そこに人だかりが出来ている事に気付いた。
同時に探していた気配の持ち主が人だかりの中心にいることと、地面に横たわっている事に気付き、顔色を変えてランブレッタから飛び降りる。
「っ!ツェッド君!!」
「うぉわ!!」
背後で短い悲鳴と派手な音が聞こえたが、それには構わず結理は人だかりをかき分けるように、倒れているツェッドに駆け寄った。即座に簡単に確かめると意識はないようで、目立った外傷は見当たらない。
「ツェッドさん…!!」
遅れてレオ達も駆け付け、困惑したように周囲の住人達を見やる。
「うわわわわ…何?何があったんです!?」
「いやー滅多矢鱈に強い二人組だったよなあ…俺らじゃなくてよかったよ」
「強盗!?」
「…だと思うんだけどサイフは手つかずなんだよね」
「そうなんすか…って何であなたが持ってんすか!!返して!!ホラ!!」
「ちょっと意外ね。酔ってるとはいえ斗流血法ってこんなもの?」
「いや、相手は相当な手練だ」
二人組にやられたと言う野次馬の言葉を聞いて静かに呟くチェインに、ザップが即座に否定を返した。意外そうに「あら」と混ぜっ返そうとしたチェインを遮る形で、ザップは「ちげえよ」と続ける。
「弟弟子(このバカ)を庇うつもりはねえが、万が一でも街のチンピラ風情に遅れをとる実力なら、師匠の修行で半日持たずに死んでる」
「じゃあ一体」
「何が…」
「って!犯人の考察してる場合じゃないですよ!!このままじゃツェッド君死んじゃう!!」
大慌てで声を張り上げた結理の言葉で、思案気に顔をしかめていた三人はようやく気付いた。
ツェッドが常に首につけている、彼の生命維持装置とも言えるエアギルスがなくなっている。
「ウワーーーーーーーー!!ボンベ無くなってるううううう!!」
一体いつからこの状態になっているのかは定かではないが、このまま放置していればツェッドの命に係わる。
即座に判断した結理はツェッドと側にいたレオの腕を掴みながら、ザップとチェインに目配せをして言い放っていた。
「ザップさんチェインさんわたしに掴まって!事務所のツェッド君の部屋まで『飛びます』!!」
「え!?」
「おい待てよ!『アレ』使う気か!?」
「それが一番手っ取り早いです!」
うろたえるザップに即答して、結理は真剣な表情のまま続ける。
「この距離だと……多分わたしはしばらく使いものになりません。だから後お願いします…!」
はっきりと告げられた言葉に、ザップとチェインは一瞬だけ目線を合わせてから同時に結理の肩に手を置いた。触れられた結理は表情を全て消して、意識を集中する。
「……行きます」
少女が静かに呟いた直後、彼女に触れていた者達が全員その場から煙のように姿を消し、何をするんだと眺めていた住人達は突然の事にどよめきながら、慌てて周囲を見回していた。
「消えた…!?」
