口調の練習

  • 語り手

    あまりにも周りから心配されるので、過去を振り替えってみる。

  • ボクくん

    俺の名前はボクだ。

  • ボクくん

    …違うな。

  • ボクくん

    おれの名前はボクだ。

  • 語り手

    「おれ」の発音はこんな感じだったかな。

  • ボクくん

    親父と

  • ボクくん

    おやじ、と二人暮らしをしている――ぜ。

  • ボクくん

    おれは肉が好きだ。

  • ボクくん

    おやじが作る野菜炒めは大好物だぜ。

  • 語り手

    よしよし、良い感じ。

  • 語り手

    しかし、鏡の前で笑顔の練習よりも…不気味かもしれないな…。周りからしてみたら。

  • レンジ

    ねえ ボクくん。なにしてるの?

  • ボクくん

    んあ、レンジか。

  • ボクくん

    抱きしめて良いか?

  • レンジ

    いっぱいぎゅってしていーよ!

  • 語り手

    お言葉に甘えて。

  • 語り手

    レンジの肉体はムキムキだが、とてもやわらかい。

  • レンジ

    ボクくんあせくさい

  • ボクくん

    仕事終わりだったからだな?

  • ボクくん

    まあ、後で海で流せば良いだろ。

  • 語り手

    レンジの体の匂いは、例えるならば遠くから海の潮が風に乗ってきた優しい感じだ。

  • 語り手

    例えるのが難しい。

  • レンジ

    さっきの

  • レンジ

    かがみのまえで、なにしていたの

  • ボクくん

    俺の身体を見ていたんだ。

  • ボクくん

    最近、バカ食いしてたからな。太ったら嫌だし。

  • レンジ

    こどもはきにしなくていーんじゃないの

  • ボクくん

    ビール腹にはなりたくねえ!

  • レンジ

    だめだよお いまはセイチョウキ なんだから。

  • レンジ

    ダイエットはボクくんらしくないよお

  • ボクくん

    ムキムキボディ保てんだからお前は良いじゃん

  • ボクくん

    普通の人間の体は適度な運動と

  • ボクくん

    食事バランスを取らねばいけないのだ。

  • レンジ

    おじいちゃん

  • レンジ

    おじーちゃんだー!

  • ボクくん

    なっ、だれがっ

  • ボクくん

    こら!待ちなさい!

  • 語り手

    まだまだ口調を治すのには時間がかかりそうだ。

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