テンバツ、なのかな。

ボクくんに、あいたい――

このきもちが、

いまのボクくんと

オレとのあいだに、かべをつくってしまったの――かな。

ごめんね　ボクくん――

うん

ボクくんはちらちらと、ぼくをみながら、おみせにはいる。

まえのせかいは

おでんをふたりで、たべたんだよね。

ボクくんはカウンターで、メニューとにらめっこしてる。

ボクくんのせなかって、がっしりしているんだよね。

かっこいいな

オレはどういうわけか「おとな」の「もの」には、ふれることができない。

この「せかい」にきたときには

ボクくんからあずかった、スコップはオレのてからきえていて

さがしてもみつからなくて

へこんでた。

ボクくんがはやくあるくと

とおりすぎてしまう

ボクくんが、ふりむくさきには、オレはいない。

ボクくんはおすなにすわる。

オレも、すわった。

…

ボクくんは

こわくないの？

みえていても、ふれることが、できないだけで

ぼく、はこわいのに

きみがみえなくかんじるのに

どうして、ボクくんは

わらっているの？

ッ・・・！

そっか――

いままで、きにしてなかった…。

いまは

ボクくんも、ぼくとおなじなんだ。

みえなくても、みえているんだ――

おでんをたべおわって、ボクくんが、おかたづけをしているあいだ

ぼくは、あしをなみにつけて、あそんでいた。

ボクくんがもどってきた。

ぼくはスコップをならす。

ボクくん、まえより――

やさしいかお、してる。

ん？

うん

ボクくんは、ふかくいきをすって、はくと、ぼくにむきあう。

ぼくも、みつめる。

(あいずちを打つ)

ぼくもおなじきもちだよ…。

ぼくもおなじなんだよ…

――っ。

ボクくん…？

こえがでない

ボクくんはどうして、がんばれるの？

ボクくんっっ

ボクくんをだきしめた。

絶対に諦めない

ボクくんがおしえてくれた。

ボクくんが、教えてくれた。