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語り手
昼の時間。
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語り手
毎日外食のためにお金をもらっても、似たようなのばかりでは飽きる。
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語り手
というわけで、ボクは展望台図書館の更に奥の山をぬけた先にある、スーパーに来た。
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語り手
もちろん、海で友達と遊んでいたレンジも誘った。
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レンジ
おれ ここまできたのはじめてかも
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語り手
レンジははじめてのスーパーだったらしく、とても大きい棚に並んだ品々に興味津々だ。
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ボクくん
おい、迷子になるなよ。
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レンジ
あ、まって ボクくん
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ボクくん
ったく、おれの服につかまってな
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レンジ
うん
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ボクくん
なあ あまのじゃく
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語り手
ん なんだね
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ボクくん
そうめんってどこらへんにあるわけ?
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語り手
周り見てくるか。
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ボクくん
頼んだ。
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レンジ
ねえねえボクくん
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ボクくん
ん なに
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レンジ
おれあれほしー!
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ボクくん
あれ ゼリーかな
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語り手
おい ボク。見つけたぞ。
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ボクくん
なあなあ、あれなに?
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語り手
…あれは石鹸だな。
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レンジ
ねえねえあれたべれる?
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ボクくん
いや、食べ物じゃない。
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ボクくん
あれは石鹸って言うらしいぜ。
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ボクくん
…学校で習ったから間違いねえ。
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語り手
レンジとボクが指しながら話しているものは、ご当地の花が入った透明の石鹸だ。
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語り手
展望台図書館の山頂に似た花があったな。
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レンジ
えー!たべものじゃないのお!
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レンジ
おいしそうなのにい
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ボクくん
とりあえずそうめん探すぞ
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語り手
ボクは私が案内した場所に向かいはじめる。
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語り手
レンジは少し遅れてボクにひっついた。
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帰宅
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ボクくん
そうめんってやっぱ夏だよなあ!
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語り手
ガチャガチャと鍋を出し、コンロに火をつける。
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語り手
レンジは隣で「そうめんのつくりかた」という文字を読む練習をしている。
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レンジ
ボクくん そんなにたべるの!?
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レンジ
おなかこわしちゃうよお
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ボクくん
これくらい食べてやらねえとな。
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ボクくん
おれの胃袋はたりねえ。
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語り手
二人は何かの取り決めとか交渉とかの話をしている。
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語り手
コトコト沸騰しはじめた。まだ冷房が効いていないため、ボクは汗だくだ。
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ボクくん
こらっ、料理中はちょっかいかけんな!
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レンジ
はやくたべたいなあ!
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語り手
ボクは鍋に素麺を入れ、さえ箸でくっつかないように、くくっと回転させる。
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語り手
それをざっくり繰り返す。
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レンジ
のこり 5ふん 57びょう!
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語り手
レンジはタイムウォッチ係りだ。
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ボクくん
3分くらい経ったら、もう冷やしてもいいよなあ?
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ボクくん
まちきれねえわ
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語り手
そこは好きにすれば良い。
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レンジ
でも、おいしいたべごろはじかんぴったしだよお
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レンジ
ちゃんと6ぷんゆでなきゃ!
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ボクくん
おれ、そこらへんの食べ頃ってやつわかんねえんだよなあ
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レンジ
あー!いけないんだー!
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語り手
ボクは取っ手をつかむと、流し台に用意していたザルに素麺を流し込んだ。
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語り手
流し台に顔を覗かせていたレンジに湯気がむわあっとかかる
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レンジ
わわ!
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レンジ
けむたい!わ!
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ボクくん
だはははっっ
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語り手
水で素麺を冷やす。
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語り手
レンジはお皿を用意している。
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ボクくん
うっし!
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語り手
ボクは素麺が入ったザルに氷を乗せる。
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語り手
おい、ボク
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ボクくん
ん どうした
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語り手
ねりしょうがよろしく
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ボクくん
でーーーっまじでつけなきゃだめ?
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語り手
だめだ。
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ボクくん
しょうがねえ わがまま神様だな!おめえは!
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語り手
ねりからしじゃないぞ。ねりしょうがだぞ。
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ボクくん
わーーーってるよ!
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風鈴の音。
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語り手
レンジとボクはおなかいっぱいで、昼寝モードに入ってしまった。
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語り手
…
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語り手
どっかブラブラしてくるか。
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