おやじとぼく

  • ボクくん

    暑いなあ…

  • 環境音

    ミーンミンミー

  • 語り手

    今日の天気は暑さが極限にまで達しており、最悪だとニュースでは言っていたが、

  • 語り手

    正直油断はしてた。暑すぎる。

  • 語り手

    ボクはとっくに上着は脱いでおり、立てかけてあるスコップの取手に引っ掛けてある。

  • ボクくん

    おい おやじー2番のネジ6本取ってくれ。

  • ボクくん

    ん。ありがとう。

  • 語り手

    金槌の音が耳に良い。

  • 語り手

    雲ひとつない空はぎらぎらと私の肌を焼く。

  • 語り手

    家を考える仕事をしていた頃には、現場の大変さ等は忘れていた。

  • 語り手

    こうして現場に立ち、作業をすると

  • 語り手

    立ち会うついでに、飲み物を持ってきてあげるくらいの気遣いはするべきだったのかなと思った。

  • 語り手

    58年生きてきたくせに、もう一度子供時代に戻らないと気づけないとは

  • 語り手

    大人というものはちっぽけな存在だ。

  • ボクくん

    うっし。

  • ボクくん

    そっちは大丈夫か?

  • ボクくん

    ん。下手伝ってくる。

  • ボクの父

    いや、お前の仕事は午前中までだ。

  • ボクくん

    あ?んだよ。今日は忙しいんだろ?

  • ボクの父

    良いから遊んで来い。お駄賃だ。

  • ボクくん

    2000円は子供には高すぎる…

  • ボクの父

    なんか美味いもん食べてこい。

  • ボクくん

    んじゃ、お言葉に甘えますか。

  • 語り手

    何歳になってもお小遣いというものは嬉しい。

  • ボクくん

    遊びに行ってくる!

  • ボクの父

    事故には気をつけるんだぞ。

  • ボクくん

    わかってる。

  • ボクくん

  • ボクくん

    おやじ。ありがとう。

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