-
環境音
コッ、コッ。
-
環境音
ピチョォォン…
-
ラベンダだめだ
-
ラベンダ起きないよ
-
クリス
そんなぁ…

-
ラベンダ起きないのは、おそらく――
-
ラベンダボク君の魔力と共に、この国に来た時からの記憶がすっぽり抜けてるからだと、思う。
-
ラベンダすなわち…
-
ラベンダ今のボク君の身体には異空間時間遡行すらもできる魔力はないってこと。
-
クリス
そんなの、だめだよ

-
クリス
ボクくん…

-
ケドルスふん、2か月くらい眠りにつくだけだろ?
-
ケドルスこのままこいつの父ちゃんに返してやればいいじゃん。
-
ラベンダ返すにしても、どう言い訳できるつもりなの?
-
ケドルス海におぼれちまって記憶飛んじゃいました~とか?
-
レンジ
ケドちゃ…

-
クリス
そんなこと言ってる場合じゃないだろっ

-
クリス
記憶をまた入れればボク君は目を覚ますんじゃない?ねえ、ラベンダ?

-
ラベンダその方法もあるけど、
-
ラベンダ魔力は記憶と共につながっているから
-
ラベンダまた、彼に魔力を与えることになる――。
-
クリス
同じ魔法を持った人が2人も混在する世界、収集できなくなって、世界がこわれる。

-
クリス
わかってる、わかってるけど

-
クリス
でも、このままにするなんて僕にはできないよ

-
レンジ
俺、俺がやる

-
ラベンダ…?
-
レンジ
ボク君のからだに、俺のまりょく、あげる…。

-
レンジ
そうすれば、ボク君はおめめをさますよね?

-
クリス
ケドルスが悪いよ

-
ケドルスはあ!?なんでだよ
-
クリス
沈没船に最初に近づいたのはケドルスだよ

-
クリス
僕たちは止めたのに、ケドルスが後先考えないで入ったから

-
クリス
ケドルスがボク君に記憶を分けてあげればいいじゃんっ!!

-
ラベンダどちらにせよ。
レンジかボク君、どちらかの魔力を消さないとダメ、なんだけどね。 -
ケドルスそうだぞ、クソガキが。てめえ、何年時の旅人やってんだよ。
-
クリス
!!!!!!

-
クリス
そういう話じゃないじゃん!!!

-
レンジ
やめてっ

-
レンジ
ラベンダ、俺をつかって

-
ラベンダ3人とも、少し、風に当たってきな。
-
ラベンダ頭に血が上ったら、何も見えてこないよ
-
ケドルスは!?俺は関係ないだろうが
-
ラベンダケドルスも、じゃまだから、外いってて。
-
ラベンダもう少し僕の力でボク君の目を覚ますことができるようにがんばってみるから。
-
ケドルスちっ、うざってえなあ
-
環境音
ギッ、バタンッッッ。
-
ラベンダほら、クリスたちも。
-
レンジ
クリス、いこ?

-
クリス
…うん

-
クリス
ごめんラベンダ。

-
環境音
ギィッ、パタン。。。
-
さぁぁ…
-
クリス
まだ…そと、こんなにあかるいんだ

-
レンジ
まだ15時だもんね

-
クリス
…ねえ、レンジ

-
レンジ
ん?

-
クリス
しばらく、僕、ひとりにさせて?

-
レンジ
うん、俺もちょっと夕涼みしてくる。

-
環境音
タッタッタ。
-
クリス
――どうすれば良いのかな。

-
クリス
どうすれば、ボク君を取り戻せるのかな。

-
クリス
俺…ボク君のこと、とっても大好きだったんだ。

-
初めて会った頃を思い出す。
最初は挙動不審で、子供っぽくなくて
不思議な人だなと思った。 -
クリス
海洋生物についてのレポートを書きたくてさ。

-
ボクくんあっ、なら、これを読むといい――
-
海洋生物について調べていなかったら
きっと、ボク君とのきっかけは思いつかなかったな――
展望台図書館に一緒にいることも多かったね。 -
クリス
ねえ、ボクくん

-
ボクくんあ?なに?
-
クリス
ボクくんは将来、どんな夢を持ってる?

-
ボクくんおれは大工かなあ
-
ボク君にも夢がある。
僕の夢の話もたくさん聞いてくれたよね。 -
ボクくん正義の味方にもいろいろあるだろう?
-
なにもできなくても?
-
クリス
あっ…そっか。

-
クリス
僕、なにもできないから

-
クリス
あせってたんだ。

-
クリス
ラベンダも、ケドルスも…ちゃんと現実を考えてる。

-
クリス大切なのは、自分が今、何をしたいか、どうしたいのか、自分の考えを持つこと。
-
クリスそうすれば未来は見えてくると思う。
-
クリス
ちゃんと、レンジと話をしてみよう。

-
ケドルス
はーだりい

-
ケドルス
簡単に言ってくれやがって

-
ケドルス
この世界に何回来て、何回おなじことを繰り返したと思ってんだよ。

-
ケドルス
はーだりい

-
環境音
さらさら…
-
俺だって、好きでこんな性格してんじゃねえし。
-
ケドルス
あんなやつしったことか。

-
ケドルス
今度こそ、この世界に決着つけてやんだからよ。

-
くたばったやつの気持ちなんかわからねえよ
-
ボクくんずいぶんとそっけなく言うじゃないか。
-
ボクくんそれは君のエゴだろう?
-
そうだよ、だから、なんだってんだ。
-
ケドルス
おまえだって、ひとりで悩んでたじゃねえかよ。

-
ケドルス
ひとりで。

-
世界がずっと続いているのなら、
私がいなくなった世界を妻はどんな顔して過ごしているんだろうか? -
ケドルス
良いじゃねえか、このままあいつは死んだって。

-
ケドルス
本当に会いたい人ときっと会えんだからよ。

-
でも、このきもちも、俺のエゴだ。
-
ケドルス
あいつはいつだって、俺にホンキでぶつかってきやがった。

-
ケドルス
俺はまだ、あいつの本心をちゃんと聞いてねえ。

-
ケドルス
口から、聞いてねえ…。

-
レンジけーーどーーちゃーーん
-
クリスケドルス!ここにいたのか!
-
ケドルス
あ?おめーら頭ひやしてきたのか?

-
クリスうん、ちゃんと冷やしてきた。
-
クリスごめん、きついこと言って。
-
ケドルス
まあ、許してやってもいいぞ。

-
ケドルス
んで、レンジ。
お前は決めたのか?
-
レンジうん、俺、俺の記憶をボクくんに全部あげる。
-
レンジみんなとの思い出は消えちゃうけど
-
レンジでも、クリスたちのやらなきゃいけないことも、たいせつだから。
-
ケドルス
まっ、それが得策だな。

-
クリスケドルス…。
-
ケドルス
安心しろ。レンジはちゃんとまた、あいつらと会えるよ。

-
クリスどういうこと?
-
ケドルス
とりあえず、ラベンダのとこに行くぞ。

-
クリス…うん、そうだね。
-
ケドルス
ちーっと、俺の負担がふえちまうが

-
ケドルス
俺の魔力で少しはレンジの負担を軽くできるだろ。

-
ケドルス
たった100年くらい削れたところで俺はビクともしねえや。

-
ケドルス
また、100憶年、生き続ければいいんだからよ。

-
レンジふたりとも、ありがとう。
-
ケドルス
わりいな、俺達の都合ばっかりでよ。

-
クリスごめんね、レンジ。
-
レンジ俺が人間にもどったら、ここにいる間はボク君に触れるもんね。
-
レンジたのしみだなあ!
-
クリスラベンダのとこ、もどろっか。
-
ケドルス
そうだな。

-
何が正しい、何が間違っているのか。
そんなことは俺達にはわからねえ。 -
だがよ
-
今できることをやるのが
近道な気がしただけだからな。 -
ボク…もう少しだ。
待ってろよ。
タップで続きを読む