HiGH&LOW〜THE STORY OF ZOMBIE〜
楓士雄の投石が目に見えて上達した。楓士雄だけではない。今生き残って鬼耶高校で籠城している生徒たちは、皆投げれるようになった。
轟は初めて投石について人に教えた。姿勢、重心の動かし方、できるだけ速く投げるための日々の練習方法について。教えることで轟自身理解が深まることもあった。将来は何かを教える職についてもいいかもしれない。浅い眠りの合間に教壇に立つ夢だって見た。
轟は眠りから意識が戻るたびに自身の手の平を確認する。干からびて硬くなっていないし、蛆も湧いていない。轟はまだ人間だから夢を見ることができる。文字通り夢で終わる可能性も高いが。負け知らずだった白い手も、人間を殴らなくなって久しい。
「なあドロッキー、ゾンビたちがいなくなったらさ、またオヤコーの皆で喧嘩しような、な」
「それ、死亡フラグって言うんだぞ」
「ええ~、明るい未来の話もできねえのかよ!」
「明るい未来でもお前は喧嘩か」
「そ、石投げからは卒業して、あったけえ喧嘩をすんの」
楓士雄の瞳は夢見るように輝いている。こんなことにならなければ、楓士雄の投石はただの手慰みでしかなかったのに。楓士雄の変化と、変化せざるを得なくなった状況に、轟は行き場のない怒りとやるせなさを抱いている。
元から雑然と散らかっていた鬼耶高校の中庭は、今や頭部をふっとばされたゾンビの亡骸で溢れかえっていた。
轟は初めて投石について人に教えた。姿勢、重心の動かし方、できるだけ速く投げるための日々の練習方法について。教えることで轟自身理解が深まることもあった。将来は何かを教える職についてもいいかもしれない。浅い眠りの合間に教壇に立つ夢だって見た。
轟は眠りから意識が戻るたびに自身の手の平を確認する。干からびて硬くなっていないし、蛆も湧いていない。轟はまだ人間だから夢を見ることができる。文字通り夢で終わる可能性も高いが。負け知らずだった白い手も、人間を殴らなくなって久しい。
「なあドロッキー、ゾンビたちがいなくなったらさ、またオヤコーの皆で喧嘩しような、な」
「それ、死亡フラグって言うんだぞ」
「ええ~、明るい未来の話もできねえのかよ!」
「明るい未来でもお前は喧嘩か」
「そ、石投げからは卒業して、あったけえ喧嘩をすんの」
楓士雄の瞳は夢見るように輝いている。こんなことにならなければ、楓士雄の投石はただの手慰みでしかなかったのに。楓士雄の変化と、変化せざるを得なくなった状況に、轟は行き場のない怒りとやるせなさを抱いている。
元から雑然と散らかっていた鬼耶高校の中庭は、今や頭部をふっとばされたゾンビの亡骸で溢れかえっていた。