あれから
おしごと
たくみを取り戻した私には、母親としての仕事が待っていた。たくみがいつも幸せでいれるよう、まずはお腹いっぱいでいてもらわなければ。「私の友人が消息を絶ちました、」
怖いもの見たさの心理はよくわかっていたし、センセーショナルな内容だからきっとうまく行くと思っていた。それでも一つ目の動画が跳ねなければ意味がない。そんな気持ちも捜索依頼の焦燥感のように画面に映った。
生きるためには糧がいる。だから動画だけではなく、引き続きライターの仕事も続けるつもりだ。瀬野千紘の仕事が、全て私とたくみの糧になる。
なんだ。
たくみが池に落とされる前と、何も変わらないんだ。
