膝枕は男のロマン?
突如目に飛び込んできた光景に、マイクロトフとカミューはしばし言葉を失った。乾燥した平野地帯であるここグラスランドの大地に、色鮮やかな花畑が広がっていたからだ。
「信じられない……グラスランドで生まれ育った私でも、こんな光景は見たことがないぞ」
「凄いな。グラスランドの気候からして、おそらく短期的なものなのだろうが……」
「だろうな。では私たちは、運良くその期間中に訪れることができたわけだ。――とはいえ、花畑の中に入って花を踏み荒らすのはさすがに気が引けるな。このままこの丘の上から観賞するとしよう」
そう言うとカミューはその場に腰を下ろし、すらりとした長い脚を投げ出した。マイクロトフもカミューに倣 い、だが片膝は立てた状態で隣に座る。
「……天気がいい上に、風も気持ちがいい……少し昼寝でもしていきたい気分だな」
「何を言っているんだ。寝るのなら宿に着いてから――」
不意に傍 らのカミューの体が傾ぎ、マイクロトフのほうへと倒れ込んだ。カミューの頭はマイクロトフのあぐらをかいているほうの脚の太腿部分に乗せられ、いわゆる膝枕をしているような恰好になる。
「なっ……おい、カミュー……」
「……うん、硬いな。寝心地は悪いが、我々は恋人同士だ。ならば膝枕はお約束だろう?」
「……」
硬いと言いながらも嬉しそうなカミューを、マイクロトフは困惑顔で見下ろした。そんなマイクロトフにカミューは「そんなに情けない顔をするな」とおかしそうに笑い、手を伸ばしてその唇を人差し指で軽く押す。
「もしや、お前はされたい側だったか?」
「いや、俺は……」
「私にされたいのなら、宿に着いてからいくらでもしてやるさ。今は私がお前にされてみたかったんだ。――キス、しようか」
カミューの甘い囁きと微笑みに、マイクロトフの頬がぱっと赤く染まる。それでもキスをしたい欲はあったらしく、マイクロトフはカミューの唇ではなく、額に軽く口付けた。「……額か」とやや不満そうに呟いたカミューへ、マイクロトフは「外だからな」と頬を染めたまま返す。外でいちゃつくことについて小言を言わなかっただけでも上出来だと、カミューは笑った。
そして、夜――とある村の、宿屋の一室。
約束どおりマイクロトフはカミューの膝枕を体験してみたわけだが、「こうするくらいならば抱きしめたほうが良くないか」「俺はわずかな触れ合いよりも、全身で触れ合ってお前の全てを感じたい」と真剣な顔で言ったマイクロトフへ、今度はカミューが「お前は何も分かってないな」と文句を言いながらも頬を染めることになったのだとか。
「信じられない……グラスランドで生まれ育った私でも、こんな光景は見たことがないぞ」
「凄いな。グラスランドの気候からして、おそらく短期的なものなのだろうが……」
「だろうな。では私たちは、運良くその期間中に訪れることができたわけだ。――とはいえ、花畑の中に入って花を踏み荒らすのはさすがに気が引けるな。このままこの丘の上から観賞するとしよう」
そう言うとカミューはその場に腰を下ろし、すらりとした長い脚を投げ出した。マイクロトフもカミューに
「……天気がいい上に、風も気持ちがいい……少し昼寝でもしていきたい気分だな」
「何を言っているんだ。寝るのなら宿に着いてから――」
不意に
「なっ……おい、カミュー……」
「……うん、硬いな。寝心地は悪いが、我々は恋人同士だ。ならば膝枕はお約束だろう?」
「……」
硬いと言いながらも嬉しそうなカミューを、マイクロトフは困惑顔で見下ろした。そんなマイクロトフにカミューは「そんなに情けない顔をするな」とおかしそうに笑い、手を伸ばしてその唇を人差し指で軽く押す。
「もしや、お前はされたい側だったか?」
「いや、俺は……」
「私にされたいのなら、宿に着いてからいくらでもしてやるさ。今は私がお前にされてみたかったんだ。――キス、しようか」
カミューの甘い囁きと微笑みに、マイクロトフの頬がぱっと赤く染まる。それでもキスをしたい欲はあったらしく、マイクロトフはカミューの唇ではなく、額に軽く口付けた。「……額か」とやや不満そうに呟いたカミューへ、マイクロトフは「外だからな」と頬を染めたまま返す。外でいちゃつくことについて小言を言わなかっただけでも上出来だと、カミューは笑った。
そして、夜――とある村の、宿屋の一室。
約束どおりマイクロトフはカミューの膝枕を体験してみたわけだが、「こうするくらいならば抱きしめたほうが良くないか」「俺はわずかな触れ合いよりも、全身で触れ合ってお前の全てを感じたい」と真剣な顔で言ったマイクロトフへ、今度はカミューが「お前は何も分かってないな」と文句を言いながらも頬を染めることになったのだとか。
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