朝の駄々っ子
(――朝だ。起きなければ)
カーテン越しの窓から射し込む光で、マイクロトフは目を覚ました。彼が早起きなのは昔からで、それは自身の腕の中で眠るカミューが恋人になってからも変わっていない。そもそも今は旅の最中 ゆえ、毎日の物資の補給が不可欠だ。カミューには毎晩相当な負担を強いているので、買い出しは大抵マイクロトフの役目となっていた。
(……昨夜もかなり無理をさせた自覚がある。カミューはもうしばらく寝かせておいて、俺一人で行ってきたほうがいいだろうな)
幸い、朝から活動するのには慣れている。店が開くまで、外で散歩や鍛錬でもしてくるか。そう考えたマイクロトフは、ゆっくりと体を起こしかけ――目の前のカミューに阻まれた。予想外に強い力で抱きつかれ、そうだ、こいつはいくら美人でも俺と同じ男であり、しかも剣を振るって戦う騎士なのだと再認識する。
「……カミュー。これではまったく動けないんだが」
「……いやだ。まだ、寝る……」
「お前はまだ寝ていていい。だが、俺はそろそろ起きたいんだ。すぐに戻って来るから、離し……」
「いやだ。お前の腕の中じゃないと、いやだ……」
「……」
俺は抱き枕か。困ったな、とマイクロトフは、まるで駄々っ子のようなカミューを見下ろして溜め息を吐いた。普段はしっかり者で年上の余裕さえ漂わせているというのに、ベッドの中では時折こうして我儘 で甘えん坊な一面を見せる。こんな顔を見せるのは恋人の己 にだけゆえに、つい甘やかしてしまうのだ。
やがてマイクロトフが起き上がるのを諦めたことに安心したのか、カミューは再び眠りに落ちて行った。そんなカミューの寝顔を、マイクロトフはじっと見つめる。
(……やはり、こういう時のカミューは可愛らしいな。本人にこれを言ったらむくれるのだろうが)
カミューからは時折「お前は可愛らしいな」と言われそのたびに反論しているが、マイクロトフもカミューに対して、同じ感情を抱いている。だがこの言葉は口には出さず、敢えて胸の内にしまっておこう。そう決意したマイクロトフは、カミューの美しく整った顔をただひたすらに見つめ続けたのだった。
カーテン越しの窓から射し込む光で、マイクロトフは目を覚ました。彼が早起きなのは昔からで、それは自身の腕の中で眠るカミューが恋人になってからも変わっていない。そもそも今は旅の
(……昨夜もかなり無理をさせた自覚がある。カミューはもうしばらく寝かせておいて、俺一人で行ってきたほうがいいだろうな)
幸い、朝から活動するのには慣れている。店が開くまで、外で散歩や鍛錬でもしてくるか。そう考えたマイクロトフは、ゆっくりと体を起こしかけ――目の前のカミューに阻まれた。予想外に強い力で抱きつかれ、そうだ、こいつはいくら美人でも俺と同じ男であり、しかも剣を振るって戦う騎士なのだと再認識する。
「……カミュー。これではまったく動けないんだが」
「……いやだ。まだ、寝る……」
「お前はまだ寝ていていい。だが、俺はそろそろ起きたいんだ。すぐに戻って来るから、離し……」
「いやだ。お前の腕の中じゃないと、いやだ……」
「……」
俺は抱き枕か。困ったな、とマイクロトフは、まるで駄々っ子のようなカミューを見下ろして溜め息を吐いた。普段はしっかり者で年上の余裕さえ漂わせているというのに、ベッドの中では時折こうして
やがてマイクロトフが起き上がるのを諦めたことに安心したのか、カミューは再び眠りに落ちて行った。そんなカミューの寝顔を、マイクロトフはじっと見つめる。
(……やはり、こういう時のカミューは可愛らしいな。本人にこれを言ったらむくれるのだろうが)
カミューからは時折「お前は可愛らしいな」と言われそのたびに反論しているが、マイクロトフもカミューに対して、同じ感情を抱いている。だがこの言葉は口には出さず、敢えて胸の内にしまっておこう。そう決意したマイクロトフは、カミューの美しく整った顔をただひたすらに見つめ続けたのだった。
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