眠る君を見ている -Side C-
ふと、目が覚めた。室内は足下の灯りがぼんやりとついているだけで薄暗い。まだ深夜のようだ。
だが薄明かりのおかげで、己 を胸に抱くマイクロトフの顔がよく見えた。彼は規則正しい寝息を立て、よく眠っている。寝ている時でもきりっと上がった太く凛々しい眉がなんだか可愛らしいなと、カミューは声を出さずに笑う。
やはり好きだな、と思った。間近にある精悍な顔も、逞しい体躯も、触れ合う肌から伝わってくる、少し高めの体温も。激しく求め合い愛し合う時間も好きだが、こうして一人静かに浸れる時間も悪くはない。愛おしくてたまらないこの男の無防備な姿を独り占めできる上に、いつまでも見ていられるからだ。
「……う、んん……カ、ミュー……」
不意にマイクロトフの口から自身の名が呼ばれ、カミューは目を丸くした。夢にまで私が出てきているのか。お前は今、どんな夢を見ている? お目当ての人間は今、お前の腕の中にいるぞ? ふふ、と思わず小さな笑い声が漏れてしまったものの、当のマイクロトフは目を覚ますことはなく、再びすう……と寝息を立て始める。
初めて同性であるマイクロトフに恋愛感情を抱き、そんな自身に戸惑ったことを思い出す。己の恋愛対象は女性だとばかり思っていたのに、よりにもよって、親友のマイクロトフを好きになってしまった。彼も自身のことを親友以上に想ってくれているとは思っていなかったし、彼と共にマチルダ騎士団を再建した後、故郷のグラスランドへ帰ってそれきり戻らないつもりでいた。そうすれば、こちらの一方的な好意を押し付け困らせるようなことも無くなるだろう、と。
だがマイクロトフはカミューがグラスランドへと旅立つ日の前夜、それらを全てひっくり返した。彼自身も以前から己を想っていたことを打ち明け、お前と共に行きたいと口にしたのだ。あの夜のことは、生涯忘れないだろう。あんなに感情を揺さぶられたのは、初めてのことだったから。
「……好きだよ、マイクロトフ。愛してる」
恋人の寝顔を蕩けるような笑みを浮かべて見つめながら、万感の思いを込めて気持ちを伝える。声に出して伝えたことで満足したのかほどなくしてカミューは再び眠りに落ちて行ったが、
「……あの顔と声音は、ずるいだろう……」
実は途中から目が覚めていたものの起きるに起きられず眠り続けているフリをしていたマイクロトフは、己に寄り添って幸せそうに眠るカミューを、盛大に赤面しながら見下ろしたのだった。
だが薄明かりのおかげで、
やはり好きだな、と思った。間近にある精悍な顔も、逞しい体躯も、触れ合う肌から伝わってくる、少し高めの体温も。激しく求め合い愛し合う時間も好きだが、こうして一人静かに浸れる時間も悪くはない。愛おしくてたまらないこの男の無防備な姿を独り占めできる上に、いつまでも見ていられるからだ。
「……う、んん……カ、ミュー……」
不意にマイクロトフの口から自身の名が呼ばれ、カミューは目を丸くした。夢にまで私が出てきているのか。お前は今、どんな夢を見ている? お目当ての人間は今、お前の腕の中にいるぞ? ふふ、と思わず小さな笑い声が漏れてしまったものの、当のマイクロトフは目を覚ますことはなく、再びすう……と寝息を立て始める。
初めて同性であるマイクロトフに恋愛感情を抱き、そんな自身に戸惑ったことを思い出す。己の恋愛対象は女性だとばかり思っていたのに、よりにもよって、親友のマイクロトフを好きになってしまった。彼も自身のことを親友以上に想ってくれているとは思っていなかったし、彼と共にマチルダ騎士団を再建した後、故郷のグラスランドへ帰ってそれきり戻らないつもりでいた。そうすれば、こちらの一方的な好意を押し付け困らせるようなことも無くなるだろう、と。
だがマイクロトフはカミューがグラスランドへと旅立つ日の前夜、それらを全てひっくり返した。彼自身も以前から己を想っていたことを打ち明け、お前と共に行きたいと口にしたのだ。あの夜のことは、生涯忘れないだろう。あんなに感情を揺さぶられたのは、初めてのことだったから。
「……好きだよ、マイクロトフ。愛してる」
恋人の寝顔を蕩けるような笑みを浮かべて見つめながら、万感の思いを込めて気持ちを伝える。声に出して伝えたことで満足したのかほどなくしてカミューは再び眠りに落ちて行ったが、
「……あの顔と声音は、ずるいだろう……」
実は途中から目が覚めていたものの起きるに起きられず眠り続けているフリをしていたマイクロトフは、己に寄り添って幸せそうに眠るカミューを、盛大に赤面しながら見下ろしたのだった。
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