真の願いは
「ん、今のは」
星空を見上げながらグラスを傾けていたカミューが、声を上げた。彼同様このひと時を楽しんでいる傍 らのマイクロトフも、つられてそちらを見る。
「何だ?」
「流れ星だ」
「そうか。見逃してしまったな」
少し残念そうに言うマイクロトフへ、はは、とカミューが笑う。
「なんだ、残念そうだな。願い事でもあったのか?」
「願い事……」
マイクロトフは少しの間考え込み、やがて正直な思いを口にする。
「やはり、マチルダ騎士団の存続だろう。正直なところ、俺は今のマチルダ騎士団は危ういと思っている。ゴルドー様には、ぜひとも騎士の誇りを取り戻してほしい。あの方とて、初めはああではなかったはずで――」
「相変わらず真面目が過ぎるな。まあ私も同意見ではあるが、今日はこうして外で飲んでいるんだ。どこで誰が聞いているか分からないことだし、もっと軽い話題にしよう。……ああ、またあそこに」
カミューが指差した方向をマイクロトフが見上げると、長く尾を引いて輝く流星がはっきりと見えた。確か、星が光っている間に三回願い事を唱えるのだったか。俺が普段から願っていることは。
「……」
「……今、本当に願い事をしたのか?」
「悪いか?」
むっとするマイクロトフにカミューはふ、と小さく笑い、だが次には再び星空を見上げて、彼は穏やかに囁く。
「私も願ったよ。『私と友がいつまでも健やかでいられますように』、とな」
「お前……それにしても、意外だな。お前が願い事を俺に教えるだなんて」
「そうか? ……さて、私は教えたぞ。お前は?」
にっこりと微笑むカミューにマイクロトフは一瞬たじろいだものの、彼は隠し事をするのが苦手な性分ゆえに、当たり障りのない返事をする。
「……俺の願いも、お前とほぼ同じだ。『これからも、こうして共に在れるように』、と。俺たちは戦うことを生業とする騎士だからな、これは切実な願いだ。むしろ、これ以上の願いがあるか?」
「……そうだな。無事三回願うことができたから、これは叶いそうだ」
そう言ってグラスの底に残っていたワインを飲み干したカミューにマイクロトフが近付き、新たにワインを注ぐ。そのお返しとばかりにカミューもマイクロトフの空いたグラスにワインを注ぐと、二人は肩を並べて他愛もない会話を楽しんだ。ただし互いに、胸の内に小さな「秘密」を抱えたままで。
(願わくば友の隣にいるのが、この先もずっと、)
(俺でありますように)
(私だけで、ありますように)
星空を見上げながらグラスを傾けていたカミューが、声を上げた。彼同様このひと時を楽しんでいる
「何だ?」
「流れ星だ」
「そうか。見逃してしまったな」
少し残念そうに言うマイクロトフへ、はは、とカミューが笑う。
「なんだ、残念そうだな。願い事でもあったのか?」
「願い事……」
マイクロトフは少しの間考え込み、やがて正直な思いを口にする。
「やはり、マチルダ騎士団の存続だろう。正直なところ、俺は今のマチルダ騎士団は危ういと思っている。ゴルドー様には、ぜひとも騎士の誇りを取り戻してほしい。あの方とて、初めはああではなかったはずで――」
「相変わらず真面目が過ぎるな。まあ私も同意見ではあるが、今日はこうして外で飲んでいるんだ。どこで誰が聞いているか分からないことだし、もっと軽い話題にしよう。……ああ、またあそこに」
カミューが指差した方向をマイクロトフが見上げると、長く尾を引いて輝く流星がはっきりと見えた。確か、星が光っている間に三回願い事を唱えるのだったか。俺が普段から願っていることは。
「……」
「……今、本当に願い事をしたのか?」
「悪いか?」
むっとするマイクロトフにカミューはふ、と小さく笑い、だが次には再び星空を見上げて、彼は穏やかに囁く。
「私も願ったよ。『私と友がいつまでも健やかでいられますように』、とな」
「お前……それにしても、意外だな。お前が願い事を俺に教えるだなんて」
「そうか? ……さて、私は教えたぞ。お前は?」
にっこりと微笑むカミューにマイクロトフは一瞬たじろいだものの、彼は隠し事をするのが苦手な性分ゆえに、当たり障りのない返事をする。
「……俺の願いも、お前とほぼ同じだ。『これからも、こうして共に在れるように』、と。俺たちは戦うことを生業とする騎士だからな、これは切実な願いだ。むしろ、これ以上の願いがあるか?」
「……そうだな。無事三回願うことができたから、これは叶いそうだ」
そう言ってグラスの底に残っていたワインを飲み干したカミューにマイクロトフが近付き、新たにワインを注ぐ。そのお返しとばかりにカミューもマイクロトフの空いたグラスにワインを注ぐと、二人は肩を並べて他愛もない会話を楽しんだ。ただし互いに、胸の内に小さな「秘密」を抱えたままで。
(願わくば友の隣にいるのが、この先もずっと、)
(俺でありますように)
(私だけで、ありますように)
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