Captivate
クーロン裏通りの病院手前の、薄暗い部屋のベッドの上で。黒髪の男と淡い金の髪の青年の視線が絡み合い、吐息を交わし、二つの影が、ゆっくりと重なって行く。
黒髪の男の漆黒の双眸が妖しく細められた途端、淡い金の髪の青年の全身から力が抜け、深い青の瞳が、何かを乞うように目の前の妖魔医師を見つめた。〝アナタガ ホシイ〟――一瞬にして己 が手に落ちた美しい青年の願いを叶えるべく、妖魔医師は青年の唇へ、己 のそれを重ねる。
最初は浅く啄むように、そこからは徐々に深く。舌を絡め歯列をなぞってやると青年の体がびくりと跳ね、ゾクゾクと快感の波が押し寄せる。
「っふ、は……なん、だか、変……」
「フフ、性的快楽を知らない割に、意外と感じやすいな。もっと私が欲しいか?」
「欲しい……、だから、もっと……っ」
「いい子だ」
再び黒髪の男が淡い金髪の青年に口付けると青年は歓喜に震え、たどたどしくも先程より積極的に求めてくるようになった。今まで生きてきた中で、しかも人間とこうまで求め合ったことなどあっただろうか。いや、無い。妖魔医師――ヌサカーンは、魔術士の青年・ブルーに応えながら、ぼんやりとそんなことを考える。
(だが今のブルーは、私の魅了によってこうなっているに過ぎない。真に虜にしなければ、意味はないのだ)
あと少しのようで、遠い。ブルーを寵姫にしてしまいたいという甘い誘惑にかられながらも、ヌサカーンはもうしばらくの間、歪 な関係を楽しむことにしたのだった。
黒髪の男の漆黒の双眸が妖しく細められた途端、淡い金の髪の青年の全身から力が抜け、深い青の瞳が、何かを乞うように目の前の妖魔医師を見つめた。〝アナタガ ホシイ〟――一瞬にして
最初は浅く啄むように、そこからは徐々に深く。舌を絡め歯列をなぞってやると青年の体がびくりと跳ね、ゾクゾクと快感の波が押し寄せる。
「っふ、は……なん、だか、変……」
「フフ、性的快楽を知らない割に、意外と感じやすいな。もっと私が欲しいか?」
「欲しい……、だから、もっと……っ」
「いい子だ」
再び黒髪の男が淡い金髪の青年に口付けると青年は歓喜に震え、たどたどしくも先程より積極的に求めてくるようになった。今まで生きてきた中で、しかも人間とこうまで求め合ったことなどあっただろうか。いや、無い。妖魔医師――ヌサカーンは、魔術士の青年・ブルーに応えながら、ぼんやりとそんなことを考える。
(だが今のブルーは、私の魅了によってこうなっているに過ぎない。真に虜にしなければ、意味はないのだ)
あと少しのようで、遠い。ブルーを寵姫にしてしまいたいという甘い誘惑にかられながらも、ヌサカーンはもうしばらくの間、
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