じれったい2人
同じくらいだった目線が、少し上に。最近急激に男性らしくなってきたとは思っていたが、ついに身長が追い越されたのだと知り、エレンは軽くショックを受ける。
(相変わらず痩せっぽちでガキっぽいけど、体はしっかり成長してるのね。声だって低くなったし。いつまでも子供の頃のままではいられないんだ)
毎日見ているはずなのに。一度意識し始めると、止まらない。広くなった肩幅や背中、骨張った手。紛 れもない「異性」だ。
「……ん? どうしたんだよ、エレン?」
見つめられていることに気付いたユリアンが、訝 しげに首を傾げる。
「別に。なんでもないわ」
「本当に? オレに見惚れてたとかじゃなくて?」
「そんなワケないでしょ。少しボーッとしてただけよ」
「でも、その割には」
「しつこい」
一喝されてしまっては、もう何も言えない。本当に「ボーッとしていた」のだろうと、ユリアンは無理やり自分を納得させた。
(……なんだよ。オレ、やっとエレンより背が高くなったのに。でもこれを言ったら、エレンは不機嫌になるんだろうな)
――そんな二人の、少し後ろでは。
「……じれったいよね、あの二人」
「まあまあ。オレたちが口出しすることじゃないから」
サラとトーマスが、生温かく見守っていたのだった。
(相変わらず痩せっぽちでガキっぽいけど、体はしっかり成長してるのね。声だって低くなったし。いつまでも子供の頃のままではいられないんだ)
毎日見ているはずなのに。一度意識し始めると、止まらない。広くなった肩幅や背中、骨張った手。
「……ん? どうしたんだよ、エレン?」
見つめられていることに気付いたユリアンが、
「別に。なんでもないわ」
「本当に? オレに見惚れてたとかじゃなくて?」
「そんなワケないでしょ。少しボーッとしてただけよ」
「でも、その割には」
「しつこい」
一喝されてしまっては、もう何も言えない。本当に「ボーッとしていた」のだろうと、ユリアンは無理やり自分を納得させた。
(……なんだよ。オレ、やっとエレンより背が高くなったのに。でもこれを言ったら、エレンは不機嫌になるんだろうな)
――そんな二人の、少し後ろでは。
「……じれったいよね、あの二人」
「まあまあ。オレたちが口出しすることじゃないから」
サラとトーマスが、生温かく見守っていたのだった。
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