お礼画面

ジェ監SS

【良い夫婦の日】



「ユウさん、ユウさん。時間ですよ、起きてください」

肩を揺らされ瞼を開けると、目の前にジェイドがいた。
「ん…え?ジェイド……先輩…?なんでここに…」
すると目の前の彼は驚いたように両眼を開く。
「おやおや、寝ぼけていらっしゃるのですか?今日は二人で寝室の新しいカーテンを買いに行く予定ではありませんか」
カーテン…?というか今ウチはどこにいるんだ。そう思いボヤッとする意識のまま部屋を見渡す。自分が今寝ているベッドは寮のものではない。肌触りの良いシルクのリネン、ふかふかのピロー。落ち着いた色合いの壁紙におしゃれな家具。天井には立派なクリスタルガラスのシャンデリアが吊り下げられている。どこをどう見てもあのボロい寮とは違う。
ここは一体?──…ああ、そうだ。
ここはウチと、今目の前にいる夫が暮らす家だ。
「…ごめんジェイドくん。なんかウチ、懐かしい夢見てたみたいで…」
「でしょうね。あの頃の夢でも見ているんだろうとは思いましたよ。あなたに『先輩』なんて呼ばれたのは久しぶりです。一体どんな夢を見ていたんでしょう?」
「んー、あんまり覚えてないや。たぶんジェイドくんにからかわれて遊ばれてたんじゃないかな。あの頃はそんなのばっかだったし」
そう言うとウツボの人魚はフフ、と軽やかに笑う。
「そうだ。今日はあの頃に戻った気分で『先輩』と呼んでくださいませんか?」
「えー、まぁ別に良いけど…。じゃあ敬語も使わないとだね」
「おや、ノリが良いですね」
「慣れましたから。ジェイド…先輩のおかげで!」
おかしくなって二人で笑い合う。ジェイドはまだベッドの中に居座っている妻をあっさり軽々と抱き上げた。
下着しか着ていない胸に顔を埋める人魚の髪が鎖骨や首筋に触れ、くすぐったくて身じろぎをする。お返しと言わんばかりにターコイズの髪にキスを贈った。
ジェイドはゆっくりベッドに優海の体を再びシーツに沈め、小さな彼女に覆い被さる。
「今日はこのままこうして過ごすのも悪くないと思いませんか?」
「んー、良いけど…買い物もジェイドくんとしたかったなぁ」
魅力的な提案だが、当初の予定はカーテンを新調することだ。どっちも選びたい。欲張りだろうか。
「では、昼から出掛けましょう」
言うなりジェイドは彼女の素肌のあちこちにキスを贈り始め────。



続く(健全です)
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