ジョニー・ライデンの帰還


姐さん!と呼ばれて忠犬に懐かれている相棒をぼんやりと見つめる。
興奮すると飛びつく忠犬に抱き締められながら、呆れた笑みを浮かべる彼女。
それは何故だか面白くない。なのに、面白くない理由は分からぬ。
「妬いてるの?」
無言を通して見つめ続け、無邪気に笑う彼女が側にいることに、心底安堵した。


子どものように無邪気に振る舞う忠犬に絡まれながら、ぎゅっと抱きついてくるその背中を撫でる。
尻尾があればブンブン振っていそうだ。
「なぁ、姐さんはジョニーが好きかい?」
「は?」
「だって、あんなに格好良くて憧れる男はいないだろ?」
ちらと向けた視線の先では、話題の男がふて腐れた顔をしていた。


女の目というのは存外でかいもので、でかいというよりは瞳がくっきりとしているのか。
「何よ、何か言いたいことでもあるの」
「ケッ、何でもねーよ」
不躾に目線をくれていたくせに、こちらから見れば文句を言われる。
女というのは身勝手なものだ。
否、この女だからか。
この女だけは、扱いにくいばかりだ。
18/18ページ
スキ