OLD:お題


少し霞んだ朝の光がカーテンの隙間からベッドを照らし、その光に誘われるようにゆっくりと目を開けた。

光を反射してキラキラと光る金髪。
私よりも長い睫毛に、切れ長な目元。スッと伸びた鼻筋。瞼の下には、澄み切った海のような青い瞳。

いつ見ても、整った綺麗な顔だと思う。
絵本に出てくるような王子様のような見目をしている。

少し朝に弱い彼のこんな瞬間を、こんなにも距離で見ていられるのは私だけの特権だ。
実感するととても嬉しくて、一人でこっそり笑ってしまった。
笑い声に気づいたのか、ゆっくりと彼の瞼が開いた。
大好きな青い瞳が見える。

「……なに笑ってんだよ…」
「おはようございます、竜太郎さん」
「ん…おはよう…」

まだ寝惚けた声で話す竜太郎さんがとても可愛らしくて、また笑みが零れる。
抱き枕代わりに緩く抱き締めてくれる彼に、ぎゅっと抱きついた。

「朝ごはん、一緒に作りませんか」
「…あぁ」
「じゃあベッドから出ましょう」

寝起きの悪い子供を連れ出すように、大きな竜太郎さんに手を引き、二人で抜け出す。

ふと振り返ったベッドには、二人分の隙間がぽっかりと空いていた。
そのささやかな光景に幸せを感じて、心がぽかぽかとした。
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