クリスマスの内緒話
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―魁童とX'mas―
★ポケットにStardust
ちょっぴり眠たくなってきた。
腕時計にちらっと目をやると、そろそろ十時近い。
クラスのみんなは、まだまだパワフルで、賑やかにカラオケに興じている。
場の空気を妨げないよう、私はそっと席を立った。
クラス有志のクリスマス会。
最初に会費を払ったから、帰りは自由解散だ。
曲の切れ間に
「それじゃ、お先に」
と小さく手を振ると、みんなが
「え~!!もう帰っちゃうの!?」
「気をつけてね~」
と声をかけてくれた。
軽く会釈をして、廊下に出る。
一気に喧騒から隔離されたような感覚に、深呼吸をする。
さて、帰ろうかな……
歩き出した時、後ろで扉が開く音がした。
「おい、ちょっと待て!」
「魁童……!?」
振り向いたまま立ち止まっている私に、魁童が駆け寄る。
「こんな時間に、一人で帰るなんて危ねえだろ」
「え……大丈夫だよ」
「おまえがよくても、俺が心配なんだっ!送ってやるから、大人しくついてこい」
思いっきり俺様な言い方のくせに顔を赤らめて目を合わせない魁童に、つい私の口元はゆるんでしまう。
それを見とがめられないよう、真面目な声で言う。
「魁童がいなくちゃ、盛り上がりに欠けるんじゃない?」
「……おまえと一緒にいたいからっ……てだけじゃ、理由にならねえか?」
「え……あ……そ、それはどうも……」
私の頬も熱くなる。
「じゃ、行くぞ」
気まずさを破るように、魁童が歩き出す。
私は慌てて彼を追いかけ、隣に並んだ。
夜の公園に差し掛かる。
「おまえんち、門限とかあるのか?」
「ないよ。どのみち、今日誰もいないし。母親は忘年会だから、多分午前様だよ」
「そっか。じゃあさ、せっかくのクリスマスなんだから、星でも見てかねえか?」
「あ~いいね。なかなか、ゆっくり夜空を見上げることもないからね、最近」
公園のベンチに、一人分の間を空けて座る。
「風はないけど、その分冷えるな」
魁童は、両手を擦り合わせてハアッと息を吹きかけた。
「あ……これ使う?」
私は、ポケットの中から程よく温まったカイロを取り出した。
「私は手袋してるからさ…」
はいっと押しつけるように渡すと、彼は
「おっ、あったけえな」
と顔をほころばせた。
「そんじゃ、お返しにこれやる」
ポケットから彼が取り出したのは、お菓子の小袋。
手袋のままそれを受け取り、じっと見つめる。
「……『ほしのかけら』…金平糖だね」
「さっき、誰かの差し入れをもらったんだ」
「うふふ、魁童のポケットに入ってた星屑が、私のポケットに流れてきたみたい。ありがとう」
私は、金平糖の袋を自分のポケットにそっとしまった。
「流れ星ってことか。それなら、願い事をしないとな」
「そうだね。ん~さしあたって私は……お年玉をたくさんもらえますように!……魁童は、何をお願いするの?」
「俺は……そうだな……」
魁童は空を見上げると、顔を上に向けたままつぶやいた。
「この時間が、ちょっとでも長く続きますように……かな」
「え……」
思わず魁童の横顔を見たら、彼もこっちを向いた。
お互いに慌てて目をそらす。
「魁童がそんな哲学的なこと言うとさ……なんか、私の願い事がバカみたいじゃない?」
「いや、おまえはそれでいいんだよ。俺は、そんなはるかが好きなんだからさ」
魁童の言葉に、私は絶句してしまった。
混ぜっ返して照れ隠ししようかと思ったが、やっぱりやめた。
お互い素直になれるのは、星屑の魔法かな……
「私も……そのままの魁童が大好きだよ」
距離を縮めて座り直し、私は、彼の横顔を見ながらつぶやいた。
魁童は一瞬こちらを見て、なにか言いたげに口を開きかけた。
だが、そのまま微かな笑みを浮かべると、星空に視線を移した。
腕をそっと、私の肩に回す。
「なあ……もう少しこうしてていいか?」
「うん……」
サンタクロースが忙しく飛び回っているであろうイヴの空に、流れ星がひとつ光ったような気がした。
*
★ポケットにStardust
ちょっぴり眠たくなってきた。
腕時計にちらっと目をやると、そろそろ十時近い。
クラスのみんなは、まだまだパワフルで、賑やかにカラオケに興じている。
場の空気を妨げないよう、私はそっと席を立った。
クラス有志のクリスマス会。
最初に会費を払ったから、帰りは自由解散だ。
曲の切れ間に
「それじゃ、お先に」
と小さく手を振ると、みんなが
「え~!!もう帰っちゃうの!?」
「気をつけてね~」
と声をかけてくれた。
軽く会釈をして、廊下に出る。
一気に喧騒から隔離されたような感覚に、深呼吸をする。
さて、帰ろうかな……
歩き出した時、後ろで扉が開く音がした。
「おい、ちょっと待て!」
「魁童……!?」
振り向いたまま立ち止まっている私に、魁童が駆け寄る。
「こんな時間に、一人で帰るなんて危ねえだろ」
「え……大丈夫だよ」
「おまえがよくても、俺が心配なんだっ!送ってやるから、大人しくついてこい」
思いっきり俺様な言い方のくせに顔を赤らめて目を合わせない魁童に、つい私の口元はゆるんでしまう。
それを見とがめられないよう、真面目な声で言う。
「魁童がいなくちゃ、盛り上がりに欠けるんじゃない?」
「……おまえと一緒にいたいからっ……てだけじゃ、理由にならねえか?」
「え……あ……そ、それはどうも……」
私の頬も熱くなる。
「じゃ、行くぞ」
気まずさを破るように、魁童が歩き出す。
私は慌てて彼を追いかけ、隣に並んだ。
夜の公園に差し掛かる。
「おまえんち、門限とかあるのか?」
「ないよ。どのみち、今日誰もいないし。母親は忘年会だから、多分午前様だよ」
「そっか。じゃあさ、せっかくのクリスマスなんだから、星でも見てかねえか?」
「あ~いいね。なかなか、ゆっくり夜空を見上げることもないからね、最近」
公園のベンチに、一人分の間を空けて座る。
「風はないけど、その分冷えるな」
魁童は、両手を擦り合わせてハアッと息を吹きかけた。
「あ……これ使う?」
私は、ポケットの中から程よく温まったカイロを取り出した。
「私は手袋してるからさ…」
はいっと押しつけるように渡すと、彼は
「おっ、あったけえな」
と顔をほころばせた。
「そんじゃ、お返しにこれやる」
ポケットから彼が取り出したのは、お菓子の小袋。
手袋のままそれを受け取り、じっと見つめる。
「……『ほしのかけら』…金平糖だね」
「さっき、誰かの差し入れをもらったんだ」
「うふふ、魁童のポケットに入ってた星屑が、私のポケットに流れてきたみたい。ありがとう」
私は、金平糖の袋を自分のポケットにそっとしまった。
「流れ星ってことか。それなら、願い事をしないとな」
「そうだね。ん~さしあたって私は……お年玉をたくさんもらえますように!……魁童は、何をお願いするの?」
「俺は……そうだな……」
魁童は空を見上げると、顔を上に向けたままつぶやいた。
「この時間が、ちょっとでも長く続きますように……かな」
「え……」
思わず魁童の横顔を見たら、彼もこっちを向いた。
お互いに慌てて目をそらす。
「魁童がそんな哲学的なこと言うとさ……なんか、私の願い事がバカみたいじゃない?」
「いや、おまえはそれでいいんだよ。俺は、そんなはるかが好きなんだからさ」
魁童の言葉に、私は絶句してしまった。
混ぜっ返して照れ隠ししようかと思ったが、やっぱりやめた。
お互い素直になれるのは、星屑の魔法かな……
「私も……そのままの魁童が大好きだよ」
距離を縮めて座り直し、私は、彼の横顔を見ながらつぶやいた。
魁童は一瞬こちらを見て、なにか言いたげに口を開きかけた。
だが、そのまま微かな笑みを浮かべると、星空に視線を移した。
腕をそっと、私の肩に回す。
「なあ……もう少しこうしてていいか?」
「うん……」
サンタクロースが忙しく飛び回っているであろうイヴの空に、流れ星がひとつ光ったような気がした。
*