息吹
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~月讀の屋敷~
「のう、月讀……本当にこれでよかったんじゃろうか…」
手の中の湯飲みに口もつけず、久遠が沈痛な面持ちでつぶやく。
「はるかさんのことですか?」
「そうじゃ。あんなに好き合っておったものを、はるかの気持ちも聞かず……」
「聞けば、ここに残りたいと言うに決まっています」
「ならば、なおさら「こうするしかなかったのですよ」」
「月讀……」
「彼女のためを思えばこそ、傷が深くなる前に……一刻も早く、この世界を去るべきだと思ったのです」
ひとつため息を吐き出して月讀は続ける。
「はるかさんを常盤國に連れて来たのは私です。よって、無事元の世界にお返しするのも私の責任なのですよ」
「しかし……はるかはそれを望んでいたのじゃろうか?」
その時、前触れもなく襖が開いた。
「「!!竜尊」」
「取り込み中悪いな」
「私としたことが……襖が開くまで、気配に気付きませんでしたよ」
「ふん、あいつがこの國を平和にしてから、どうやらおまえらの危機感も薄れたようだな。どうりで……今はるかがどんな状況になってるかも、気付かないって訳だ 」
「一体、何が言いたいのですか?」
「はっ!はるかのためだなんて、口先で言っちゃあいるがな……結局は、てめえのためだろう?"最もらしくけじめをつけました"っていう自己満足じゃないのか!?」
「これは聞き捨てなりませんね。あなた方に、何がわかると言うのですか?」
月讀の冷ややかな視線と竜尊のそれとがぶつかり、見えない火花を散らす。
「あいつはもう、あっちの世界じゃ生きられない……」
「何ですって!?」
「悲しみのあまり病を得て、食事も喉を通らなければ、起き上がることもままならない」
「そんな……」
「はるか……労しいのじゃ」
久遠が目頭を押さえる。
「俺達が思っていた以上に、あいつはこの世界の人間になっていたのさ」
竜尊の言葉に、月讀は唇を噛みしめ視線を下に落とす。
「そういう訳で、事態は一刻を争う。もしこのままはるかが命を落とすようなことがあれば……術士、おまえがあいつを殺したも同然になるがな」
「私にどうしろと?」
「あいつを……はるかをもう一度、この世界に連れてこい」
「しかし……」
「まさか"できない"なんて言わないよな?」
「月讀」
黙って聞いていた久遠が、我慢できないというように口を開いた。
「わしからも頼むのじゃ……はるかが独りぼっちで泣いていると思うと、不憫でならないのじゃ」
「……私だって……何よりも望んでいるのは、はるかさんの幸せです。わかりました。久遠、早速彼女の世界に飛んでもらえますか?」
「承知したのじゃ!」
*
「のう、月讀……本当にこれでよかったんじゃろうか…」
手の中の湯飲みに口もつけず、久遠が沈痛な面持ちでつぶやく。
「はるかさんのことですか?」
「そうじゃ。あんなに好き合っておったものを、はるかの気持ちも聞かず……」
「聞けば、ここに残りたいと言うに決まっています」
「ならば、なおさら「こうするしかなかったのですよ」」
「月讀……」
「彼女のためを思えばこそ、傷が深くなる前に……一刻も早く、この世界を去るべきだと思ったのです」
ひとつため息を吐き出して月讀は続ける。
「はるかさんを常盤國に連れて来たのは私です。よって、無事元の世界にお返しするのも私の責任なのですよ」
「しかし……はるかはそれを望んでいたのじゃろうか?」
その時、前触れもなく襖が開いた。
「「!!竜尊」」
「取り込み中悪いな」
「私としたことが……襖が開くまで、気配に気付きませんでしたよ」
「ふん、あいつがこの國を平和にしてから、どうやらおまえらの危機感も薄れたようだな。どうりで……今はるかがどんな状況になってるかも、気付かないって訳だ 」
「一体、何が言いたいのですか?」
「はっ!はるかのためだなんて、口先で言っちゃあいるがな……結局は、てめえのためだろう?"最もらしくけじめをつけました"っていう自己満足じゃないのか!?」
「これは聞き捨てなりませんね。あなた方に、何がわかると言うのですか?」
月讀の冷ややかな視線と竜尊のそれとがぶつかり、見えない火花を散らす。
「あいつはもう、あっちの世界じゃ生きられない……」
「何ですって!?」
「悲しみのあまり病を得て、食事も喉を通らなければ、起き上がることもままならない」
「そんな……」
「はるか……労しいのじゃ」
久遠が目頭を押さえる。
「俺達が思っていた以上に、あいつはこの世界の人間になっていたのさ」
竜尊の言葉に、月讀は唇を噛みしめ視線を下に落とす。
「そういう訳で、事態は一刻を争う。もしこのままはるかが命を落とすようなことがあれば……術士、おまえがあいつを殺したも同然になるがな」
「私にどうしろと?」
「あいつを……はるかをもう一度、この世界に連れてこい」
「しかし……」
「まさか"できない"なんて言わないよな?」
「月讀」
黙って聞いていた久遠が、我慢できないというように口を開いた。
「わしからも頼むのじゃ……はるかが独りぼっちで泣いていると思うと、不憫でならないのじゃ」
「……私だって……何よりも望んでいるのは、はるかさんの幸せです。わかりました。久遠、早速彼女の世界に飛んでもらえますか?」
「承知したのじゃ!」
*