息吹
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~夢現~
――
――――
ここはどこ?
かろうじて足元が見える程度の暗がりに、私はたたずむ。
「…………、はるか」
誰かが私を呼んでいる……?
じっと目を凝らすと、結わえた白銀の髪を揺らしながら近づいてくる影――
『竜尊!』
『はるか……元気にしているか?』
私は、竜尊めがけて駆け寄ると、彼の腕をつかんだ。
『魁童は……魁童はどうしてるの!?教えて、竜尊……』
涙があふれて言葉を途切れさせ、私は竜尊の足元に座り込んでしまった。
『こんなにやつれちまって……』
竜尊の大きな手が、私の頭をなでる。
夢の中だとわかっていても、このぬくもりを信じたい……
『魁童から、これをはるかに、と預かってきた』
竜尊が懐から取り出したのは、小さなお守りのような袋だった。
『……いい匂い……』
『はるかに渡すつもりで、少し前に町で手に入れたらしい。こんなことになっちまって渡せずじまいだったが、どうしてもはるかに持っててもらいたいそうだ』
魁童の髪と、瞳と、同じ黄金色に染め上げられた匂い袋。
『魁童も同じものを持ってる。おそろいなんだと』
時空を越えて二人をつなぐ匂い袋を、私は両手でそっと包んだ。
『ありがとう、竜尊……魁童に……会いたいよ……』
たとえ夢であっても、今私が頼れるのは竜尊しかいない。
どうか伝えて。
魁童を想う私の気持ちを……
竜尊は目を細めて微かに笑うと、私の頭をくしゃくしゃっとした。
『必ず何とかしてやる。おまえ達が再び会えるようにな……だから今は、元気になることだけを考えろ。その様子じゃ、飯もろくに食ってないんだろ?』
『希望を……持っても、いいのかな』
『ああ。俺達も、あんなしょげかえった魁童見てられないからな。もしも術士を倒すことになっても、恨まないでくれよ』
『うん……ごめんね、竜尊。いろいろ心配かけて……』
『その体は、おまえだけのものじゃないんだからな。体が受け付けるものを食って、しっかり栄養とれよ?』
『ありがとう。がんばれそうな気がしてきたよ』
『じゃあな。魁童からの預かり物は、確かに渡したからな』
竜尊は背中を向けながら手をヒラヒラと振ると、闇に融けていった。
私は魁童の色の匂い袋を握りしめて、その後ろ姿をいつまでも見送っていた。
そして次に目覚めた時、私の手の中には、確かにその匂い袋が存在していた。
*
――
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ここはどこ?
かろうじて足元が見える程度の暗がりに、私はたたずむ。
「…………、はるか」
誰かが私を呼んでいる……?
じっと目を凝らすと、結わえた白銀の髪を揺らしながら近づいてくる影――
『竜尊!』
『はるか……元気にしているか?』
私は、竜尊めがけて駆け寄ると、彼の腕をつかんだ。
『魁童は……魁童はどうしてるの!?教えて、竜尊……』
涙があふれて言葉を途切れさせ、私は竜尊の足元に座り込んでしまった。
『こんなにやつれちまって……』
竜尊の大きな手が、私の頭をなでる。
夢の中だとわかっていても、このぬくもりを信じたい……
『魁童から、これをはるかに、と預かってきた』
竜尊が懐から取り出したのは、小さなお守りのような袋だった。
『……いい匂い……』
『はるかに渡すつもりで、少し前に町で手に入れたらしい。こんなことになっちまって渡せずじまいだったが、どうしてもはるかに持っててもらいたいそうだ』
魁童の髪と、瞳と、同じ黄金色に染め上げられた匂い袋。
『魁童も同じものを持ってる。おそろいなんだと』
時空を越えて二人をつなぐ匂い袋を、私は両手でそっと包んだ。
『ありがとう、竜尊……魁童に……会いたいよ……』
たとえ夢であっても、今私が頼れるのは竜尊しかいない。
どうか伝えて。
魁童を想う私の気持ちを……
竜尊は目を細めて微かに笑うと、私の頭をくしゃくしゃっとした。
『必ず何とかしてやる。おまえ達が再び会えるようにな……だから今は、元気になることだけを考えろ。その様子じゃ、飯もろくに食ってないんだろ?』
『希望を……持っても、いいのかな』
『ああ。俺達も、あんなしょげかえった魁童見てられないからな。もしも術士を倒すことになっても、恨まないでくれよ』
『うん……ごめんね、竜尊。いろいろ心配かけて……』
『その体は、おまえだけのものじゃないんだからな。体が受け付けるものを食って、しっかり栄養とれよ?』
『ありがとう。がんばれそうな気がしてきたよ』
『じゃあな。魁童からの預かり物は、確かに渡したからな』
竜尊は背中を向けながら手をヒラヒラと振ると、闇に融けていった。
私は魁童の色の匂い袋を握りしめて、その後ろ姿をいつまでも見送っていた。
そして次に目覚めた時、私の手の中には、確かにその匂い袋が存在していた。
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