あの灯りの下で
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私に見せたいものがある、という魁童に連れられて、町を見下ろせる小高い丘の上に来ている。
日が沈んだばかりの、闇が広がり始めた空の下に、家々の灯りがきらめいている。
魁童と私は、肩を寄せ合って、その景色を眺めている……
と、魁童がふいに口を開いた。
「俺さ、たまに、ここに来て町の灯りを眺めるんだ。
いつかはるかと所帯を持って、人間みたいに家に住んだら……俺達の家の灯りも、あの中にあるはずなんだなって……。へへ、俺がこんなこと考えてるって、おかしいか?」
「おかしくなんかないよっ」
いつになく弱気な魁童に、私は思わず、彼の両手をガシッと握ってしまった。
魁童の顔がみるみる赤くなるのが、暗がりの中でもすぐにわかった。
「あ……ご、ごめん……」
ぱっと手を離すと、今度は反対に、魁童が私の手を握った。
「なあ、はるか、もし本当にそうなったら……その時おまえは、俺のそばにいてくれるか?」
「当たり前でしょ?」
いつも強気で俺様な魁童が、こんなふうに思っていたなんて……。
「絶対に私が、魁童の隣にいるんだから」
「そっか、ありがとうな、はるか」
「ふふ、何だか、結婚の約束みたいだね」
「ああ、俺はそのつもりだ」
「魁童……」
目が合うと、魁童はニカッと笑った。
「はるかと同じ屋根の下で、一緒に飯食って、一緒に眠って……子供はたくさんほしいな……男と女と、三人ずつか?」
「あはは、魁童ってば、もうそんなことまで考えてるの?」
「あっひでぇ……笑うなよな」
真っ赤になった魁童が、ふざけてつかみかかってくる。
「きゃ~助けて~……っわっ!!」
私は、魁童に押し倒される形で、後ろに倒れてしまった。
私をまっすぐに見つめ、真面目な顔になる魁童。
「…………はるか……愛してる」
「ん……私も、魁童のこと愛してるよ」
月明かりに照らされて輝く、金色の柔らかな髪が近づいてきて、私は目を閉じた。
私達は、熱く静かな口付けをかわした。
* * *
屋敷まで送ってもらった別れ際。
久遠のお説教は、覚悟の上だ。
「すっかり遅くなっちまって、悪かったな」
「ううん、そんなこと……。それよりさ、魁童と私の夢、絶対絶対、二人で叶えようね」
「おう、もちろん……約束だ」
魁童が、瞳を輝かせて語る未来。
その中には、私がいる。
ちょっと遠回しだったけれど、魁童の精いっぱいのプロポーズ。
私は、死ぬまで今日のことを忘れないだろう。
*
日が沈んだばかりの、闇が広がり始めた空の下に、家々の灯りがきらめいている。
魁童と私は、肩を寄せ合って、その景色を眺めている……
と、魁童がふいに口を開いた。
「俺さ、たまに、ここに来て町の灯りを眺めるんだ。
いつかはるかと所帯を持って、人間みたいに家に住んだら……俺達の家の灯りも、あの中にあるはずなんだなって……。へへ、俺がこんなこと考えてるって、おかしいか?」
「おかしくなんかないよっ」
いつになく弱気な魁童に、私は思わず、彼の両手をガシッと握ってしまった。
魁童の顔がみるみる赤くなるのが、暗がりの中でもすぐにわかった。
「あ……ご、ごめん……」
ぱっと手を離すと、今度は反対に、魁童が私の手を握った。
「なあ、はるか、もし本当にそうなったら……その時おまえは、俺のそばにいてくれるか?」
「当たり前でしょ?」
いつも強気で俺様な魁童が、こんなふうに思っていたなんて……。
「絶対に私が、魁童の隣にいるんだから」
「そっか、ありがとうな、はるか」
「ふふ、何だか、結婚の約束みたいだね」
「ああ、俺はそのつもりだ」
「魁童……」
目が合うと、魁童はニカッと笑った。
「はるかと同じ屋根の下で、一緒に飯食って、一緒に眠って……子供はたくさんほしいな……男と女と、三人ずつか?」
「あはは、魁童ってば、もうそんなことまで考えてるの?」
「あっひでぇ……笑うなよな」
真っ赤になった魁童が、ふざけてつかみかかってくる。
「きゃ~助けて~……っわっ!!」
私は、魁童に押し倒される形で、後ろに倒れてしまった。
私をまっすぐに見つめ、真面目な顔になる魁童。
「…………はるか……愛してる」
「ん……私も、魁童のこと愛してるよ」
月明かりに照らされて輝く、金色の柔らかな髪が近づいてきて、私は目を閉じた。
私達は、熱く静かな口付けをかわした。
* * *
屋敷まで送ってもらった別れ際。
久遠のお説教は、覚悟の上だ。
「すっかり遅くなっちまって、悪かったな」
「ううん、そんなこと……。それよりさ、魁童と私の夢、絶対絶対、二人で叶えようね」
「おう、もちろん……約束だ」
魁童が、瞳を輝かせて語る未来。
その中には、私がいる。
ちょっと遠回しだったけれど、魁童の精いっぱいのプロポーズ。
私は、死ぬまで今日のことを忘れないだろう。
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