寒い夜だから
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
夕方から降り始めた雪が、夜になって激しさを増している。
月讀さんと久遠は、遠くの町に出かけていて、今日は帰ってこない。
何となく落ち着かず、羽織をはおると縁側に出てみた。
しんしんと降り積もる雪景色は幻想的だ。
「あぁ、こんな晩、魁童がいてくれたら……」
ため息とともにつぶやいた時――――
「俺様がどうしたって?」
「魁童!?」
夢かと疑いたくなるくらいのタイミングで、目の前に現れたのは、他でもない魁童だった。
「魁童、どうしたの?」
「はるかが、今日の夜は一人で留守番だっつってたからさ、寂しがってるんじゃないかと思って……」
「とにかく、中に入って。風邪ひいちゃうよ」
「ああ。んっとにさみい~!いくら俺でも、この寒さはこたえる」
犬のように体をブルッとふるわせて雪をはらうと、魁童は私に続いて、部屋に入ってきた。
急いで持ってきた手ぬぐいを魁童に渡す。
「さ、服脱いで、これで体ふいて。着替え持ってくるけど……月讀さんの寝間着じゃ、大きいかな?」
「げ。術士のなんて、変な術がかかってそうで、やだ」
「確かに、後々めんどうなことになってもね。じゃあ、私ので我慢してくれる?」
「はるかの寝間着……」
魁童の頬がちょっとゆるんだ。
「ちょ……ちょっと!?変なこと想像してるんじゃないでしょうね」
「だ、だってさ……」
顔を赤らめる魁童。
本当に、純情だ。
思わずからかいたくなる
「変なこと考えてるんだったら、貸してあげない!裸で寝たら?」
「お、おい……。おまえって、意外と大胆だな。俺様に裸で寝ろってことは、当然はるかも……ぶっっ」
私が投げた枕が、魁童の顔を直撃した。
「もぉっ……ばかなこと言わないでよ!――あ、そのあとで、お客さん用のお布団持ってくるから」
「いらねえ」
「は?」
「はるかと同じ布団でいいだろ」
「え……ちょっとそれは……」
「俺様とじゃ、いやなのか?」
すねたように唇をとがらせる魁童には、つい負けてしまう。
「その方があったかいもんね。あ、でも、変なことしないでよ?」
「ばっ……なんもしねえよ……そりゃ、できたらうれしいけど」
真っ赤になってゴニョゴニョつぶやく魁童を残し、私は寝間着を取りに行った。
何だか不思議な気分だ。
こんな夜中に魁童と一緒に、しかも同じ布団の中にいるなんて……。
魁童も、まだ寝付けないみたいだ。
「ねえ、魁童」
「ん?」
「今日はありがとうね」
「お、おう…あのさ、はるか」
「ん?なあに?」
「その……手つないでもいいか?」
「うん。あ、でも」
私は、魁童の腕にしがみつき、肩に頬を寄せた。
「この方があったかい」
「わわっ!」
一瞬驚いた魁童だったけれど、こちらに体を向け直すと、反対の手で私の髪をそっと撫でた。
お互いの息づかいが感じられるくらいに、顔が近い。
「はるか、俺……」
深呼吸ともつかないため息を吐き出しながら、言葉を続ける。
「俺、自分を抑えられるか、自信がな「……ぃよ」」
「へ!?」
「私は、いいよ」
「いいって……何が?」
「もぉ!魁童とだったら、何があってもいいよ、って言ったの!」
「え……それって……いやいやいや、だめだ、それはだめだっ!!――――今日俺は、おまえを守るために来てるんだ。だから、なんにもしないっっ!」
「ん、わかった。魁童、ありがとう」
「よしっ!そんじゃ、寝るぞ……って言っても、まだそんなに眠くは……あ、そうだ。はるか、おまえの世界のこと、聞かせてくれよ」
「いいよ。どんな話?」
――――
――――――
どちらからともなく眠りにつくまで、私達は、いろんなことを喋った。
私の世界のこと、この世界のこと、修行のこと、降りしきる雪のこと――――
いつか、魁童と同じ屋根の下で暮らし、毎晩、一緒に眠ることができる日が来るのかな。
そんなことを思いながら、魁童の腕の中で眠りについた、幸せな雪の夜だった。
*
月讀さんと久遠は、遠くの町に出かけていて、今日は帰ってこない。
何となく落ち着かず、羽織をはおると縁側に出てみた。
しんしんと降り積もる雪景色は幻想的だ。
「あぁ、こんな晩、魁童がいてくれたら……」
ため息とともにつぶやいた時――――
「俺様がどうしたって?」
「魁童!?」
夢かと疑いたくなるくらいのタイミングで、目の前に現れたのは、他でもない魁童だった。
「魁童、どうしたの?」
「はるかが、今日の夜は一人で留守番だっつってたからさ、寂しがってるんじゃないかと思って……」
「とにかく、中に入って。風邪ひいちゃうよ」
「ああ。んっとにさみい~!いくら俺でも、この寒さはこたえる」
犬のように体をブルッとふるわせて雪をはらうと、魁童は私に続いて、部屋に入ってきた。
急いで持ってきた手ぬぐいを魁童に渡す。
「さ、服脱いで、これで体ふいて。着替え持ってくるけど……月讀さんの寝間着じゃ、大きいかな?」
「げ。術士のなんて、変な術がかかってそうで、やだ」
「確かに、後々めんどうなことになってもね。じゃあ、私ので我慢してくれる?」
「はるかの寝間着……」
魁童の頬がちょっとゆるんだ。
「ちょ……ちょっと!?変なこと想像してるんじゃないでしょうね」
「だ、だってさ……」
顔を赤らめる魁童。
本当に、純情だ。
思わずからかいたくなる
「変なこと考えてるんだったら、貸してあげない!裸で寝たら?」
「お、おい……。おまえって、意外と大胆だな。俺様に裸で寝ろってことは、当然はるかも……ぶっっ」
私が投げた枕が、魁童の顔を直撃した。
「もぉっ……ばかなこと言わないでよ!――あ、そのあとで、お客さん用のお布団持ってくるから」
「いらねえ」
「は?」
「はるかと同じ布団でいいだろ」
「え……ちょっとそれは……」
「俺様とじゃ、いやなのか?」
すねたように唇をとがらせる魁童には、つい負けてしまう。
「その方があったかいもんね。あ、でも、変なことしないでよ?」
「ばっ……なんもしねえよ……そりゃ、できたらうれしいけど」
真っ赤になってゴニョゴニョつぶやく魁童を残し、私は寝間着を取りに行った。
何だか不思議な気分だ。
こんな夜中に魁童と一緒に、しかも同じ布団の中にいるなんて……。
魁童も、まだ寝付けないみたいだ。
「ねえ、魁童」
「ん?」
「今日はありがとうね」
「お、おう…あのさ、はるか」
「ん?なあに?」
「その……手つないでもいいか?」
「うん。あ、でも」
私は、魁童の腕にしがみつき、肩に頬を寄せた。
「この方があったかい」
「わわっ!」
一瞬驚いた魁童だったけれど、こちらに体を向け直すと、反対の手で私の髪をそっと撫でた。
お互いの息づかいが感じられるくらいに、顔が近い。
「はるか、俺……」
深呼吸ともつかないため息を吐き出しながら、言葉を続ける。
「俺、自分を抑えられるか、自信がな「……ぃよ」」
「へ!?」
「私は、いいよ」
「いいって……何が?」
「もぉ!魁童とだったら、何があってもいいよ、って言ったの!」
「え……それって……いやいやいや、だめだ、それはだめだっ!!――――今日俺は、おまえを守るために来てるんだ。だから、なんにもしないっっ!」
「ん、わかった。魁童、ありがとう」
「よしっ!そんじゃ、寝るぞ……って言っても、まだそんなに眠くは……あ、そうだ。はるか、おまえの世界のこと、聞かせてくれよ」
「いいよ。どんな話?」
――――
――――――
どちらからともなく眠りにつくまで、私達は、いろんなことを喋った。
私の世界のこと、この世界のこと、修行のこと、降りしきる雪のこと――――
いつか、魁童と同じ屋根の下で暮らし、毎晩、一緒に眠ることができる日が来るのかな。
そんなことを思いながら、魁童の腕の中で眠りについた、幸せな雪の夜だった。
*
1/1ページ