一緒にいたいから
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朝なんか来なければいい、
ずっとこのまま土曜の夜が続けばいい。
そしたら、こうしてあなたと一緒にいられるのに…
会社の上司である新八さんとおつき合いするようになって、もうすぐ半年。
上司といっても、ちっとも威張ったりしてなくて、それでいて頼りになる素敵な先輩。
私だってもう大人なんだから、いっそこの部屋に住みついてしまいたい。
そう思ってしまうくらい、いつだって彼のそばにいたいんだけど……
「仮にも嫁入り前の娘さんを、男の部屋に入り浸りなんてふうには、させられねえよ」
と、新八さんに反対された。
「そりゃ俺だって、千鶴ちゃんと一緒に暮らせたら、そんなに嬉しいことはねぇ。けどよ、今のまま同棲しちまうのは、世間的に見てどうにもいけねぇ」
つまり節度を守ろう、ということだ。
新八さんは、そういう所が意外にかたくて律儀なのだ。
だったら、晴れて二人で暮らせるようにアクションを起こしてくれたっていいのに……
そう思いつつ、私からはなかなか決定的な事柄を口に出すことができず、週末だけのお泊まりを毎週続けている。
気がつけば、カーテンの隙間から光が差し込んでいる。
ああ、夜が終わってしまったんだ。
もうすぐ現実に戻って、また一週間、会社で顔を合わせるだけの関係で我慢しなくちゃならない。
ちょっぴり泣きたい気分になり、まだ夢の中といった様子の新八さんにぴたりと寄り添って、彼の裸の胸に顔を埋める。
「ん……どうした?……寒ぃのか?」
寝ぼけ眼の新八さんが、私に腕を回して彼の体温で包み込む。
自分から抱きついたことに気づかれちゃったかな?と恥ずかしくなり、私は慌てて身体を反転させ、彼に背を向ける。
途端、新八さんの腕に力が入ったかと思うと、ギュッと引き寄せられ後ろから抱きしめられた。
新八さんのゴツゴツとした、それでいて繊細な指が私の体をまさぐる。
その手をとり、私は、自分の指を絡めた。
しばしの沈黙が流れる。
「きゃっ」
ガバッと上体を起こした新八さんが、覆い被さってきた。
「千鶴ちゃん……可愛すぎるぜ」
「新八さん……」
休みの前日なら胸が高鳴る展開だけど……
数時間後には帰らなくちゃいけない、そう思うと、なんだか寂しさが先に立ち、素直に彼を受け入れる気持ちになれなかった。
思わず顔をそらしてそっぽを向いた私の肩に、新八さんの大きなため息がかかった。
「そろそろ、潮時かもな」
ポツリとつぶやかれた言葉に、私はゆっくり彼の方に体を向けた。
「千鶴ちゃんにゃ可哀想だが、これ以上は俺が我慢できねぇ」
「…………」
背中を嫌な痺れが走り、一瞬にして私の頭の中は真っ白になった。
これって……別れ話?こんなに唐突に?
なんで……そんな前触れも何もなかったよね…
言葉につまり、私は、ただ彼の顔を見つめることしか出来なかった。
すると新八さんは、私の頭をクシャッと撫でた。
「んな泣きそうな顔すんなって。すぐに仕事をやめろとは言わねえよ……せっかく頑張って、みんなに認められてきて、面白くなってきたとこだろ?」
仕事?やめる??
話の全容が見えないまま、私は首をひねった。
新八さんは、私の頭に手を置いたまま遠くを見るような表情で続ける。
「ただ、子供ができたら……やっぱ俺としちゃあ、嫁さんにはしっかり家を守ってもらいてぇな」
「あの……新八さん……?」
もしかしてもしかしたら、これは……
「片時も離したくねえ……いつだって、手の届く場所にいてほしいんだよ」
「私もです!」
身を乗り出すように答えた私を、新八さんの空色の瞳がまっすぐにとらえた。
「俺は千鶴ちゃんと、きちんと夫婦になりてぇ。千鶴ちゃん……こんな俺だけど、嫁に来てくれるか?」
「はいっ……もちろんです!」
「そうか、それじゃ約束の印だ」
言うが早いか、新八さんの唇が私のそれを塞ぐ。
「ん……新八……さ……」
息苦しくなって、だんだん深くなる口付けから逃れる。
「千鶴ちゃんは俺だけのもんだ」
そう言いながら、新八さんの唇は私の首すじ、胸元へと下りていき、紅い花を咲かせる。
その先はもう、言うには及ばずで… …
朝食もとらずに私たちは、日がすっかり高くなるまで愛を確かめ合ったのだった。
*
ずっとこのまま土曜の夜が続けばいい。
そしたら、こうしてあなたと一緒にいられるのに…
会社の上司である新八さんとおつき合いするようになって、もうすぐ半年。
上司といっても、ちっとも威張ったりしてなくて、それでいて頼りになる素敵な先輩。
私だってもう大人なんだから、いっそこの部屋に住みついてしまいたい。
そう思ってしまうくらい、いつだって彼のそばにいたいんだけど……
「仮にも嫁入り前の娘さんを、男の部屋に入り浸りなんてふうには、させられねえよ」
と、新八さんに反対された。
「そりゃ俺だって、千鶴ちゃんと一緒に暮らせたら、そんなに嬉しいことはねぇ。けどよ、今のまま同棲しちまうのは、世間的に見てどうにもいけねぇ」
つまり節度を守ろう、ということだ。
新八さんは、そういう所が意外にかたくて律儀なのだ。
だったら、晴れて二人で暮らせるようにアクションを起こしてくれたっていいのに……
そう思いつつ、私からはなかなか決定的な事柄を口に出すことができず、週末だけのお泊まりを毎週続けている。
気がつけば、カーテンの隙間から光が差し込んでいる。
ああ、夜が終わってしまったんだ。
もうすぐ現実に戻って、また一週間、会社で顔を合わせるだけの関係で我慢しなくちゃならない。
ちょっぴり泣きたい気分になり、まだ夢の中といった様子の新八さんにぴたりと寄り添って、彼の裸の胸に顔を埋める。
「ん……どうした?……寒ぃのか?」
寝ぼけ眼の新八さんが、私に腕を回して彼の体温で包み込む。
自分から抱きついたことに気づかれちゃったかな?と恥ずかしくなり、私は慌てて身体を反転させ、彼に背を向ける。
途端、新八さんの腕に力が入ったかと思うと、ギュッと引き寄せられ後ろから抱きしめられた。
新八さんのゴツゴツとした、それでいて繊細な指が私の体をまさぐる。
その手をとり、私は、自分の指を絡めた。
しばしの沈黙が流れる。
「きゃっ」
ガバッと上体を起こした新八さんが、覆い被さってきた。
「千鶴ちゃん……可愛すぎるぜ」
「新八さん……」
休みの前日なら胸が高鳴る展開だけど……
数時間後には帰らなくちゃいけない、そう思うと、なんだか寂しさが先に立ち、素直に彼を受け入れる気持ちになれなかった。
思わず顔をそらしてそっぽを向いた私の肩に、新八さんの大きなため息がかかった。
「そろそろ、潮時かもな」
ポツリとつぶやかれた言葉に、私はゆっくり彼の方に体を向けた。
「千鶴ちゃんにゃ可哀想だが、これ以上は俺が我慢できねぇ」
「…………」
背中を嫌な痺れが走り、一瞬にして私の頭の中は真っ白になった。
これって……別れ話?こんなに唐突に?
なんで……そんな前触れも何もなかったよね…
言葉につまり、私は、ただ彼の顔を見つめることしか出来なかった。
すると新八さんは、私の頭をクシャッと撫でた。
「んな泣きそうな顔すんなって。すぐに仕事をやめろとは言わねえよ……せっかく頑張って、みんなに認められてきて、面白くなってきたとこだろ?」
仕事?やめる??
話の全容が見えないまま、私は首をひねった。
新八さんは、私の頭に手を置いたまま遠くを見るような表情で続ける。
「ただ、子供ができたら……やっぱ俺としちゃあ、嫁さんにはしっかり家を守ってもらいてぇな」
「あの……新八さん……?」
もしかしてもしかしたら、これは……
「片時も離したくねえ……いつだって、手の届く場所にいてほしいんだよ」
「私もです!」
身を乗り出すように答えた私を、新八さんの空色の瞳がまっすぐにとらえた。
「俺は千鶴ちゃんと、きちんと夫婦になりてぇ。千鶴ちゃん……こんな俺だけど、嫁に来てくれるか?」
「はいっ……もちろんです!」
「そうか、それじゃ約束の印だ」
言うが早いか、新八さんの唇が私のそれを塞ぐ。
「ん……新八……さ……」
息苦しくなって、だんだん深くなる口付けから逃れる。
「千鶴ちゃんは俺だけのもんだ」
そう言いながら、新八さんの唇は私の首すじ、胸元へと下りていき、紅い花を咲かせる。
その先はもう、言うには及ばずで… …
朝食もとらずに私たちは、日がすっかり高くなるまで愛を確かめ合ったのだった。
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